株式明日の戦略-東京メトロは好発進も日経平均は大幅安、リスク回避の流れが続く

 23日の日経平均は大幅に3日続落。終値は307円安の38104円。まちまちの米国株を受けて小安く始まると、しばらくはプラス圏とマイナス圏を行き来して方向感が定まらなかった。しかし、10時台後半辺りから買い手の握力が弱くなり、前引けは3桁の下落。後場に入ると買い手不在の様相が強まり、売りに勢いがついた。13時近辺では下げ幅を400円超に広げて、節目の38000円を割り込んだ。ここで売りには一巡感が出てきたが、幅広い銘柄が下落する中で戻りは限られ、その後は引けまで低空飛行が続いた。

 東証プライムの売買代金は概算で3兆5100億円。業種別では輸送用機器、食料品、不動産などが上昇した一方、サービス、海運、銀行などが下落した。「スーパードライ」など飲料の価格改定(値上げ)を実施すると発表したアサヒグループホールディングス<2502.T>が大幅上昇。同業のキリンホールディングス<2503.T>も連れ高した。半面、主力大型株の多くが弱く、ディスコ<6146.T>が4%を超える下落となった。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり260/値下がり1351。一段の円安進行や決算を受けた米GMの急伸などを好感して、トヨタやホンダなど自動車株が大幅上昇。スズキにEV向け駆動装置を供給するとの観測が報じられたアイシンが買いを集めた。米長期金利は一段と上昇したが、三菱地所や野村不動産など不動産株には上昇銘柄が多かった。エフィッシモの大株主浮上が判明したコニカミノルタや、1Qが大幅増益となったブックオフが急騰した。

 一方、三菱重工、川崎重工、IHIの防衛大手3社が大幅安。リクルートやメルカリなどグロース系の銘柄に厳しい下げとなるものが散見された。米長期金利の上昇を受けても、三菱UFJや三井住友など銀行株が全般軟調。川崎汽船など前日買われた海運株が、きょうは一転売りに押された。上期の決算が市場の期待に届かなかったコメリが5%を超える下落となった。

 本日、プライム市場に上場した東京メトロは、公開価格1200円に対して買い気配スタートとなり、10時06分に公開価格比35.8%高となる1630円で初値をつけた。寄った後も上げ幅を広げ、終値は1739円。商いも盛り上がり、全市場の売買代金ランキングで断トツのトップとなった。

 日経平均は大幅安。東京メトロが好スタートを切ったこともあって、指数はしばらく値を保っていた。しかし、10時台半ば辺りから雲行きが怪しくなり、後場に入ると大きく崩れた。プライムの売買代金(概算)は22日が3.8兆円で、きょう23日が3.5兆円。メトロが大商いとなる中で全体の売買代金は前日よりも減少している。メトロに主役を奪われた主力株の多くが弱く、これでは日本株の上昇は期待しづらい。

 今週27日に投開票が行われる衆院選に関しては、自民党+公明党でも過半数を獲得できるか微妙といった旨の報道がいくつか出てきている。両党で過半数を獲得できなくても政権交代になるとは限らないが、自民党が票を大きく減らした場合、党内で石破首相の求心力がなくなり、政策が前に進まないリスクがある。自公の挽回を伝えるようなニュースが出てこないと、あす以降も急落に対する警戒が拭いきれない。

 ただし、投開票前に自公過半数割れのシナリオを織り込みに行くのであれば、直前の金曜後場、もしくは週明けの月曜朝には逆回転の動きが出てくる可能性がある。あすはまだ売り圧力が強そうだが、52週線(37331円、22日時点)辺りまで深押しするような場面があるなら、そこでは打診買いを検討したい。
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