ロンドン為替見通し=独景況感を確かめ、ウ・ロ戦争の泥沼化にも警戒

 本日のロンドン為替市場でユーロドルは、ユーロ圏で最も経済規模が大きいドイツの景況感をまずは確かめ、また同国企業・フォルクスワーゲン(VW)の事業縮小による影響を探りながらの取引か。ほか、ウクライナ・ロシア戦争を巡る地政学リスクの高まりにも注意したい。

 欧州序盤に発表される11月独消費者信頼感指数(Gfk調査)は、-20.5と前回から僅かにマイナス幅が縮小見込み。今年前半に記録した-30に迫る水準から改善傾向ではあるものの、コロナ禍前のプラスには遠い状況が続いている。昨日は欧州金融当局者から、欧州中央銀行(ECB)の大幅利下げ観測をけん制する発言が出たものの、足もとの景況感は緩和継続の必要性を示すものとなりそうだ。

 複数のメディアが昨日、ドイツを代表する企業の1つVWが国内で少なくとも3つの工場閉鎖を計画していると報じた。それに伴う人員削減は数万人単位になるもよう。新たな事業計画には、残りの工場も恒久的に縮小、全従業員を対象にした一律10%減給の方針も含まれている。VWの国内グループの従業員は約30万人とされ、予想以上の縮小規模は消費センチメントに少なからず影響はあるだろう。

 なお、長引くウクライナとロシアの戦争は更に泥沼化する懸念が高まっている。米国防総省の最新の分析によれば、北朝鮮が約1万人の兵士をロシアに派遣し、訓練を受けさせているもよう。ルッテ北大西洋条約機構(NATO)事務総長は昨日、北朝鮮軍部隊がロシア・クルスク地域に配備されたことを確認したと述べた。

 米国は北朝鮮が戦闘に参加した場合、ウクライナによる米兵器の使用に新たな制限を課さないと発表している。これに対してプーチン露大統領がより強硬姿勢を取ることは容易に想像でき、地政学リスクの高まりは避けられそうにないか。リスクの強弱を見定めながら、避難通貨とされるスイスフランの動向に注目したい。

想定レンジ上限
・ユーロドル、10月21日高値1.0872ドル
・ユーロ/スイスフラン、10月14日高値0.9428フラン

想定レンジ下限
・ユーロドル、10月23日安値1.0761ドル
・ユーロ/スイスフラン、8月6日安値0.9286フラン


(小針)
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