週間為替展望(豪ドル/ZAR)-豪ドル、RBAはタカ派姿勢を維持

◆豪ドル、RBAはタカ派姿勢を維持
◆豪ドル、米大統領選後は2016年と同じ流れを辿るか注視
◆ZAR、米新政権の南アへの影響はネガティブ材料が多い

予想レンジ
豪ドル円 100.00-105.00円
南ア・ランド円 8.60-9.00円

11月11日週の展望
 豪ドルは不安定な動きとなりそうだ。豪州の重要な経済指標をにらみながら、「トランプ・トレード」が持続するか見定める必要があるだろう。

 豪州では、今週開催された豪準備銀行(RBA)理事会で、政策金利が予想通り据え置かれた。RBAは声明文で「基調インフレは依然として高すぎる」「インフレ率は2026年まで目標(2-3%)の中央値に到達することはないだろう」と言及するなど、これまで通りのタカ派的な見解を維持。市場ではRBAが金融緩和に転じるのは早くても来年前半との見方が中心となっている。一方で、米連邦準備理事会(FRB)は6-7日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で金利引き下げを決定。今後も追加利下げを進めていく考えを示しており、目先は豪米金利差が縮小していくことになるだろう。

 こうした金融政策の違いは豪ドルの下値を支えることになるが、今週の為替市場では米大統領選挙で共和党のトランプ候補が勝利したことを受け、「トランプ・トレード」によるドル買いが進む場面が見られた。翌日には失速するなどドル相場は不安定な動きとなったが、来週以降に米金利の上昇とドル買いが再び強まるのであれば、豪ドルも対ドルを中心に上値が重くなることが予想される。トランプ候補が前回勝利した2016年は選挙後から年末まで豪ドル安・ドル高が進行したが、今回も同様の流れを辿るか慎重に見極めたいところだ。

 なお、来週は豪州から12日に11月ウエストパック消費者信頼感指数や10月NAB企業景況感指数、13日に7-9月期賃金指数、14日に10月雇用統計が公表予定。特に四半期賃金指数や雇用統計はRBAの金融政策にも大きな影響を与える指標として注目されそうだ。

 南アフリカ・ランド(ZAR)は神経質な展開が予想される。来週は12日に7-9月期失業率の発表が予定されているものの、基本的にはドル相場など外部要因に振らされることになるだろう。なお、トランプ新政権による南アへの影響については総じてネガティブなものが多い。トランプ次期米大統領はアフリカ成長機会法(AGOA)が米国経済にもたらす利益に疑問を呈しており、南アの政策が米国の利益と合致していないと感じた場合、AGOAに基づく南アへのアクセス見直しや制限を検討する可能性がある。さらに、BRICS諸国の一員として反西側諸国との関係を深めていることが国際舞台で南アフリカの立場を危うくするとの懸念もある。短期的なZAR売り材料とはならないだろうが、今後の影響を見極めていく必要があるだろう。

11月4日週の回顧
 豪ドルはしっかり。対円では総じて堅調に推移したほか、米大統領選の結果判明後には対ドルで売りに押される場面もあったが、翌7日には買い戻しが入った。ZARも同様に対円では底堅い展開が続いた。対ドルでは大統領選後に一時売りに押されたものの、その後はドル売りの流れに沿って買い戻しに転じた。(了)
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