NY為替見通し=ウクライナ情勢に気にしつつ要人発言を確認する展開か

 本日のNY市場でのドル円は、米国では経済指標の発表こそ予定されていないものの、複数の米連邦準備制度理事会(FRB)高官の発言が予定されており、その内容に注目することになるか。

 まずは、NY時間午後にクック・ボウマン両FRB理事の発言機会が予定されている。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」を見ると、足元での12月17-18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%の利下げ確率が59%弱と、1カ月前の76%強と比べて低下している。前週のパウエルFRB議長の発言で米年内利下げ観測がやや後退している中、金利や労働市場などへの言及があれば注目されるか。また、NY時間終盤にはボストン連銀のコリンズ総裁の発言も予定されている。

 また、ウクライナ情勢についても引き続き注意が必要だろう。昨日はウクライナが米国から供与された武器でロシア領土を攻撃したほか、プーチン露大統領が核ドクトリンの改定を承認して「核兵器の使用基準を緩和した」と報じられたことで、地政学的リスクが高まって相場の重しとなる場面が見られた。その後、ラブロフ露外相が「核戦争が起きないというのがロシアの立場だ」と発言したことで一旦落ち着いたとはいえ、戦争自体は継続している点を踏まえると、情勢が一段と緊迫化する場面ではリスク回避の動きが強まりやすい。その場合は米長期金利の低下と共にドル安での反応も想定される。

 そのほか、米株市場引け後に半導体大手エヌビディアの決算が予定されている。決算発表を前に株式市場で売買が手控えられるようだと、為替市場に様子見ムードが波及することもあり得る。


想定レンジ上限
・ドル円は15日高値156.75円

想定レンジ下限
・ドル円は日足・一目均衡表の転換線154.45円


(川畑)
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