東京為替見通し=シンガポール・米国は休場明け、流動性悪い中で仲値の強引な仕掛けは警戒

 昨日のドル円は、日本と中国以外の主だった市場が休場だったこともあり閑散取引となった。仲値公示に絡んでドル買いが強まると157.34円まで上昇するも、仲値を通過すると失速。その後156.99円まで下押した。植田日銀総裁の講演内容が伝わると、直後こそ反応薄であったが、徐々に買い戻しが優勢となると157.37円までわずかに本日高値を更新した。ユーロドルは1.04ドルを挟んでの上下に終始した。

 本日のアジア時間ではシンガポール市場が休場明けだが、オセアニア両国や香港などは引き続き休場。また欧州のメイン市場もほぼ休みであり、休場明けとなる米国勢の参入までトレンド形成は難しそうだ。

 本日は本邦からは週次の対外対内証券売買契約や11月新設住宅着工戸数が発表されるが、これらの指標結果で市場が動意づくことは難しいだろう。

 材料不足の中で警戒しなくてはならないのは、東京仲値(フィキシング)の値決めになる。米国が休場明けとなることでドル決済が可能となり、当日付の取引がまとまって入りやすい。昨日も一部金融機関が、流動性が悪い中で値決め時に強引にドル買いを仕掛けた。

 ここ数年はクリスマス休場翌日には仲値で神経質な動きを見せている。今年は不足か余剰になるかは分からないが、一昨年は本邦実需勢の買いで約50銭程度上昇した。一方で、昨年は仲値では強引に下押しされた。どちらに傾いた場合でも、仲値の値決めにかけては大きく振れることが予想される。

 なお、昨日の植田日銀総裁の講演内容は、今後の政策決定については当たり障りのない発言だったこともあり、市場を大きく動意づけることはできなかった。ただし、明日は18-19日の日銀金融政策決定会合の「主な意見」や、全国消費者物価指数(CPI)の前哨戦となる12月の東京都区部のCPIが公表されることで、これまでの流れが変わる可能性もあることには留意しておきたい。

 また、欧州通貨の値動きも警戒しておきたい。昨日はロシアがクリスマスにもかかわらずウクライナのエネルギーインフラに大規模な攻撃を仕掛けた。この攻撃により、首都キーウ(キエフ)を含む全国で停電が発生し、一部の住民は地下鉄の駅に避難している。ウクライナのゼレンスキー大統領はロシアの行動を「非人道的」と非難し、欧米主要メディアも一斉にロシアの攻撃を批判している。両国間の戦争が新たな戦火拡大に広がるかを注目したい。


(松井)
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