ロンドン為替見通し=1月ユーロ圏HICPを見極めつつ、欧米貿易戦争勃発に要警戒か

 本日のロンドン為替市場のユーロドルは、1月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値を見極めつつ、欧米貿易戦争勃発の可能性に警戒していく展開となる。

 1月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値の予想は前年比+2.4%、ユーロ圏HICPコア速報値の予想は同比+2.6%となっている。
 1月の欧州中央銀行(ECB)理事会で政策金利が0.25%引き下げられた後、3月理事会でも0.25%引き下げて、中立金利(1.75%~2.50%)の上限付近まで追加利下げすることが示唆されており、1月のユーロ圏HICPへの注目度は従来ほどではないのかもしれない。

 トランプ米大統領は、先週、「欧州連合(EU)に対しても何らかの非常に重要な関税を賦課する意向」と述べ、EUサイドも報復関税を示唆したことで、欧米貿易戦争の様相を呈し始めている。

 米国のピーターソン国際経済研究所によれば、トランプ関税のコストは米国内総生産(GDP)の1.8%となり、第1次トランプ米政権での米中貿易戦争でのコスト0.4%を大幅に上回るとのことで、貿易戦争での勝者はいない。

 欧米貿易戦争は、米国とユーロ圏にとってマイナス要因となり、ECBに対して更なる利下げが求められるのかもしれない。

 ユーロ圏の景況感悪化とECBによる追加利下げの思惑は、ユーロドルの2022年以来のパリティー(1ユーロ=1ドル)割れを射程に入れつつある。


想定レンジ上限
・ユーロドル:1.0457ドル(日足一目均衡表・雲の下限)
・ユーロ円:161.80円(1/30高値)

想定レンジ下限
・ユーロドル:0.9936ドル(2022/11/10安値)
・ユーロ円:156.99円(2024/12/4安値)


(山下)
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