NY為替見通し=引き続きトランプ政権の関税が相場の焦点

 本日のNY時間のドル円は、引き続きトランプ政権の動向を見定めて、他通貨の動きや株価に連れて動くことになりそうだ。

 本日は早朝からトランプ政権による、カナダとメキシコへの追加関税発動で、米インフレ高進による米金利上昇・ドル高が市場を先導した。時間外の米長期金利は、その後アジア時間には低下したものの、ドルの売り戻しへの反応は限定的となった。

 追加関税はカナダとメキシコへの影響は大きいものの、市場では米国市場への悪影響は必至と捉え、米株先物市場が大幅安で反応している。ポピュリストなトランプ米大統領であることで、米株安などを懸念して、関税発動を4日から再び延期する言い訳を探す可能性もあり、再びSNSなどでの関税策についての発表の有無には注目したい。

 なお、第1次トランプ政権とは違い、他国が米国依存型の経済から徐々に抜け出そうとする傾向にあることで、トランプ政権の圧力をかければかけるほど、脱米国の動きが加速するリスクもある。このことの無視して圧力をかけ続けた場合には、米国のインフレ圧力が増し、米経済が袋小路に陥るリスクにも警戒していきたい。

 市場の注目は追加関税が決定したカナダ、メキシコ、今後の課税強化が予想される中国、ユーロ圏などの通貨に集まっている。円に関して言えば、米国のインフレ懸念が高まればドル買いに反応する反面、株価の下落による円買いが重なることで、他通貨と比較して値動きは限定的になるか。

 なお、本日米国からの経済指標は1月米製造業PMI改定値、1月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数、12月米建設支出などが発表される。ISM製造業景気指数は通常は市場の反応が敏感になる経済指標だが、先週は米連邦公開市場委員(FOMC)翌日に発表された、12月のPCEデフレーターなどへの市場の反応が限られたように、市場の目がトランプ政権の通商政策に目が移っていることで、ISMも通常よりは反応は限られるかもしれない。


・想定レンジ上限
 ドル円の上値めどは、日足一目均衡表・基準線156.30円。

・想定レンジ下限
 ドル円の下値は、先週末31日NY時間での安値154.53円。


(松井)
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