東京為替見通し=ドル円、株・金利眺めつつ下方向に注意 中国は春節明け

 4日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米長期金利の低下とともに154.17円まで下落した。12月米JOLTS求人件数や同月米製造業新規受注が予想より弱い内容となったことを受けた動き。ユーロドルは低調な米雇用指標を受けて全般ドル売りが優勢になると、1.0388ドルと日通し高値を更新した。

 本日の東京市場では、ドル円は株価動向や日米の長期金利をながめて方向感を模索する展開か。

 前日の弱い米雇用指標を受けて米長期金利が低下した一方、米株は主要3指数そろって上昇した。東京市場では株価や金利の動きに左右される展開が見込まれるものの、注意したいのはドル円の立ち位置。今月に入り2日連続で156円を前に頭が重く、昨日は154.34円付近で引けた。先月下旬から下値支持となっている153.70円台が近いため、株安や米長期金利低下などの局面では下値が意識されやすいと見る。本日はゴトー(5・10)日であり、東京仲値の値決めにかけても気が抜けなさそうだ。

 なお、昨日米国は中国に対する追加関税を発動したほか、中国も報復関税を発表した。米中貿易摩擦の激化懸念からリスクオフとなる場面が見られるも、ドル円は売り一巡後は日通し高値を更新する場面もあった。これまでのところ、トランプ政権による関税などの交渉について、カナダやメキシコ、中国などが対象となっていたが、材料としては一服感が漂っている。そうした中で新たな貿易戦争を予感させる材料が出た場合は、市場が過敏に反応する展開も想定される。引き続き関連報道への警戒は怠らないようにしたい。

 経済指標は、12月毎月勤労統計調査が発表予定。11月の実質賃金は確報値で前年比+0.5%と速報値(-0.3%)から上方修正されて4カ月ぶりのプラスとなった。先月24日に日銀が利上げを行った直後であるほか、市場の関心がトランプ米大統領の関税を始めとする政策に集まる中では、指標に対する反応は限定的となりそうだが、賃上げの動向を見るうえで押さえておきたい。

 昨日は、植田日銀総裁が衆院予算委員会で「デフレではなくインフレの状態にある」などと述べた。一方、石破首相は「日本経済はデフレの状況にはないが、脱却できていない。今インフレと決めつけることはしない」などと発言しており、政府と日銀の日本経済に対する認識の違いが見られた。デフレ脱却が明確となれば日銀の追加利上げが意識されやすくなるため、引き続き発言内容には注意したい。

 他方、中国では1月Caixinサービス部門購買担当者景気指数(PMI)が発表予定。市場予想は52.4と前月の52.2をわずかに上回る見通しとなっている。本日は春節明けで上海株の取引が再開されることもあり、こちらの動向も留意したい。

(川畑)
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