週間為替展望(ドル/ユーロ)-ドル円、米国の1月CPIに注目

◆ドル円、米1月CPIで低下傾向が続くかを見極め
◆ドル円、早期利上げ観測が台頭するなか、日銀内部からの発言や日米首脳会談に注目
◆ユーロドル、景気悪化懸念や追加利下げ観測から上値重い

予想レンジ
ドル円   149.50-154.50円
ユーロドル 1.0000-1.0500ドル

2月10日週の展望
 ドル円は、来週の12日に予定されている米1月消費者物価指数(CPI)が12月の2.9%、11月の2.7%からの上昇基調を辿っているのか、それとも反落しているのかを見極めることになる。上昇基調を辿っていた場合は、1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でのタカ派的据え置きが正しい判断だったことになり、3月FOMCでの利下げの可能性はほぼなくなるだろう。ただ、逆に反落していた場合は、トランプ米大統領からの利下げ圧力が強まる可能性に警戒が必要となる。

 一方、日本の金融政策については、今週、田村日銀審議委員が「中立金利が1%程度ということを念頭に置きながら、物価目標の実現に向けた確度の高まりに応じて適時かつ段階的に短期金利を引き上げていく方針」と述べ、市場の早期利上げ観測が高まった。この見解に対する日銀内部からの発言には注意しておきたい。

 トランプ関税に関しては、メキシコとカナダへの関税発動が3月まで先送りされたこともあり、当面は材料視されることはないと思われる。ただ、対中輸入関税の10%は発動され、中国側も報復関税で対抗しており、米中貿易戦争は小規模ながら始まっている。今後の両国の関税の動きを見極めることになりそうだ。

 また、外交面では米国がガザ地区を管理する姿勢を示したことを受けて、米国に対するテロが頻発する可能性が出て来ており、リスクオフの動きには注意が必要だろう。更に、7日にはワシントンで日米首脳会談が開催される。日本に対する要求やトランプ米大統領の経済、金融、貿易関係などに対する見解にも注目している。なお、トランプ米大統領は、就任前の昨年4月、ドル円が約34年ぶりに154円台に乗せた局面では「米国の製造業にとって大惨事だ」と述べている。

 ユーロドルは、仏・独・ユーロ圏の10-12月期国内総生産(GDP)速報値が弱い内容となり、3月の欧州中央銀行(ECB)理事会での追加利下げが示唆された。上値が重い展開が予想される。来週は12月の数字ではあるもののユーロ圏鉱工業生産などでユーロ圏の景況感を確認することになる。

2月3日週の回顧
 ドル円はトランプ米大統領がメキシコとカナダに対する輸入関税25%の大統領令に署名したことで週明け3日に155.89円まで上昇したものの、その後は弱い米指標を受けた米長期金利の低下や日銀の早期追加利上げ観測が急速に高まるなか150.96円まで売り込まれた。ユーロドルは米10年債利回りが4.40%台まで低下したことで1.0141ドルから1.0442ドルまで上昇したが、その後は1.03ドル台まで戻り売りに押された。(了)
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