東京為替見通し=円相場は本邦GDPに注目、ユーロは停戦協議への欧州拒否反応が焦点

 先週末の海外市場でドル円は一時152.03円まで弱含んだ。1月の米小売売上高がヘッドラインと自動車を除いたベースともに予想より下振れたことで米長期金利が低下。これを受けて全般ドル売りが優勢となった。ユーロドルは1.0514ドルと1月27日以来の高値を更新した。
 
 本日の東京時間でドル円は、方向感が出にくく引き続き神経質な動きになりそうだが、米長期金利の低下で上値は限られるか。指標では10-12月期の実質国内総生産(GDP)速報値が発表予定。

 2月に入りドル円は非常にボラタイルに動き、最も狭い日でも11日の96銭レンジで、平均すると1日に1円66銭の値幅を伴った動きになっている。大きな値幅の要因としては、トランプ米大統領が関税賦課を示唆するものの、ディールを望んでいることもあり、関税が実際に発動されるのかが定まらず、米長期金利が激しく上下していることが主要因。また植田日銀総裁の就任後、日銀は経済指標の発表などが無い場合でも急に本邦の金融政策見通しに変化を加え、市場と対話が全く取れていないことも別要因としてある。

 本日は米国市場がプレジデンツデーで休場。リスクを取るのは難しい相場で値幅は限られるかもしれないが、引き続きトランプ政権の動向や本邦要人の不用意な発言が相場をかき乱すことはありそうだ。

 円相場で本日注目されるのは、本邦の10-12月期GDP速報値。市場は、年率換算で7-9月期の+1.2%から+1.0%へと低下を予想。今年1月に発表された日銀の展望レポートでは、2025年度のGDP予想は+1.1%となっていることで、昨年の第3四半期からは停滞するものの、概ね見通しに沿ったものになっている。本日は10-12月期のGDPが予想を上振れれば、賃金と物価の好循環が確認でき、3月に向けての日銀の利上げ期待が更に高まり円が買われることになるだろう。一方で成長率が鈍化した場合には、やや円が売られることになるか。

 ドル円以外には、欧州通貨の値動きには要注目。引き続きロシアとウクライナの停戦協議の動向には目を向けておきたい。トランプ米大統領による停戦協議の提案は、ウクライナと地政学的に密接に結びついている欧州各国を無視している。これを懸案し、週末にマクロン仏大統領が本日月曜日「ドイツ、イギリス、イタリア、ポーランド、スペイン、オランダ、デンマークの政府首脳、および欧州理事会議長、欧州委員会委員長、NATO事務総長」と「非公式」会合を行う予定であると述べた。

 トランプ米大統領は、和平よりもウクライナから同国の希土類鉱物へのアクセスを確保するというディールを持ち掛けている。ゼレンスキー・ウクライナ大統領はこれまでに提示された提案は、ウクライナにとって具体的な安全保障を保証するものではないと述べ、米ロ両国だけの協議に対してウクライナを含めた欧州各国が拒否反応を示している。安易に米ロの協議が行われることが停戦協議となるわけではなく、欧州の孤立がさらに進み、ユーロ相場に影響を与えるリスクもありそうだ。


(松井)
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