株式明日の戦略-円高一服で3日ぶり反発、来週はエヌビディアに注目が集まる

 21日の日経平均は3日ぶり反発。終値は98円高の38776円。米国株安やドル円の150円割れを嫌気して3桁下落スタート。ただ、東京時間では円高が一服して円安に振れたことから、安く始まった後の下値は限られた。10時台に円安に勢いがついたタイミングではプラス圏に浮上。上げ幅を3桁に広げると上値が重くなり、前場は小幅なプラスで終えた。後場はドル円の値動きが落ち着いたこともあり、じわじわと水準を切り上げる流れが続いた。終盤には再び上げ幅を3桁に広げる場面もあり、高値圏で取引を終えた。

 東証プライムの売買代金は概算で4兆3100億円。業種別では医薬品、ゴム製品、保険などが上昇した一方、非鉄金属、海運、精密機器などが下落した。ディー・エヌ・エー<2432.T>が13.9%高と急騰。強い動きを見せる中で商いも膨らみ、売買代金は全市場でトップとなった。半面、日本鋳鉄管<5612.T>、日本ヒューム<5262.T>、NJS<2325.T>など、今週強く買われる場面があった下水道関連が大幅に下落した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり556/値下がり1031。東京時間でドル円が円安に振れたことから、SUBARUや三菱自動車など自動車株の一角が大幅上昇。海外メディアの報道を材料に日産自動車が値を飛ばした。上方修正と増配を発表したクロスキャットや、自己株取得を発表したエンビプロHDが急騰。レーザーテック、SCREEN、ローツェなど半導体関連に強く買われるものが散見された。

 一方、三菱重工、川崎重工、IHIの防衛大手3社がそろって大きめの下落。日経平均は上昇したが値下がり銘柄は多く、日立、みずほ、リクルート、古河電工などが弱かった。売り出しを発表したぴあや相鉄HDが大幅安。決算内容の一部訂正を発表したフィスコが8%を超える下落となった。

 グロース市場にブッキングリゾートが新規上場。高い初値をつけた後も買いを集めており、ストップ高で初日を終えた。

 日経平均は3日ぶり反発。円高に一服感が出てきたことで、直近の下げに対する押し目買いが入った。寄り前に発表された1月の消費者物価指数(CPI)は生鮮食品を除く総合が前年比+3.2%と、市場予想の+3.1%を上回った。弱い内容ではなかっただけに円高が進んだとしても驚きはなかったが、そうはならなかった。円安でも円高でも短期間の急激な変動は株式市場にとってリスクとなる。その点において、心理的節目の150円付近で円高にブレーキがかかったのは安心材料。昨年11月半ばに円高が進んだ時も、150円を割り込んだところで切り返した。円高リスクが消えたわけではないが、来週は今週に比べると為替に気を揉む場面が少なくなると予想する。


【来週の見通し】
 しっかりか。月曜が休場で立ち合いは4日。米国で水曜26日にエヌビディアが決算発表を予定している。現状、国内半導体株に過熱感は乏しい。それだけに、エヌビディアの決算反応が良ければ半導体株には素直に買いが入ると見込まれる。この場合、全体にもプラスの影響が及ぶだろう。生成AIに対する過剰な期待は後退しており、エヌビディアの決算が案外でも、ネガティブな反応は半導体株に限られるとみる。為替動向が気になるところではあるが、来週は米国で経済指標の発表が多い。米国の指標が強ければ円安(ドル高)要因となるだけに、ドル円の値動きはマイルドになると思われる。エヌビディアの決算を確認するまでは売り急ぎは抑制されるであろうし、エヌビディアの反応が良ければリスク選好ムードが高まる展開も期待できる。弱材料には一定の耐性を示し、週間では水準を切り上げると予想する。
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