東京為替見通し=ドル円、トランプ米大統領の施政方針演説に注目

 昨日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反発。前日のトランプ米大統領の円安けん制発言や株安に伴ったリスクオフの円買いで一時148.10円と昨年10月9日以来の安値をつけたが、米長期金利が上昇に転じたことや「米国とウクライナは鉱物資源のディールで署名の準備」「トランプ米大統領はディールについて議会演説で発表の意向」との一部報道をきっかけに買い戻しが強まると一転149.88円まで反発した。また、ラトニック米商務長官がカナダとメキシコへの関税を4月2日に変更する可能性に言及したことも支援材料となった。ユーロドルはフォンデアライエン欧州委員長が提案した8000億ユーロ規模の欧州再軍備などが好感されてユーロ買い・ドル売りが先行し、一時1.0627ドルまで昨年12月6日以来の高値を更新した。また、ユーロ円は乱高下するも、ドル円の買い戻しとユーロドルの上昇を支えに159.21円まで高値を更新した。

 東京市場では午前11時ごろに予定されている「トランプ米大統領の議会で行う施政方針を示す演説」に注目が集まっている。トランプ米大統領が経済や外交など幅広い分野で自身の政策や考え方を国民に訴える場となるが、どんな発言が飛び出すか見当がつかない。同氏の発言に振り回される相場展開が続いており、内容次第ではドル円が値幅を伴った神経質な動きになる可能性がある。関税に絡んだ発言や、再び中国や日本を名指しして金融政策への批判が出るかどうかなどにも注目したい。

 金融市場全般がトランプ関税の不確実性に振り回されており、ドル円も神経質な動きが続いている。カナダとメキシコの関税は4日から発動したが、ラトニック米商務長官は4月2日に関税の変更がある可能性を示唆した。二転三転する関税方針に市場もうんざりしている。足もとでドル円も方向感が出にくいが、上値の重い動きが続くと見込まれる。日銀の早期利上げ観測の高まりが依然として上値圧迫要因となっているなか、ウクライナ情勢を背景とした地政学リスク、トランプ米政権と中国・カナダなどの関税合戦の勃発などで世界経済の先行きに対する不安がリスクオフの円買いにつながりやすい。今のところ、トランプ関税は市場のセンチメントを悪化させるだけである。

 また、トランプ米大統領が円安を批判し、通貨安政策を取るなら関税を課すと脅かしていることも引き続きドル円の上値を重くする要因として意識されそうだ。トランプ氏の円安けん制発言は、円安のメリットよりデメリットを懸念している日本の当局者らにとっては都合のいい話かもしれない。また、日銀は「トランプ氏の発言などは日本の金融政策に関係ない」との姿勢を示すだろうが、金融政策の正常化を進めている日銀にとってトランプ氏の金融政策批判は追加利上げに動きやすい一つのポイントになるかも知れない。よって、円高圧力は当面続きそうだ。


(金)
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