週間為替展望(豪ドル/ZAR)-ZAR、SARBの金融政策に注目

◆NZドル、中銀総裁の交代で利下げ余地縮小の可能性
◆ZAR、SARBの金融政策に注目
◆ZAR、予算案を巡る交渉次第で下落リスク

予想レンジ
豪ドル円 91.00-95.00円
南ア・ランド円 7.80-8.30円

3月17日週の展望
 豪ドルは神経質な動きが予想される。トランプ政権の二転三転する関税政策を巡って市場全般の方向性が定まらなくなっているが、来週も関税によってインフレ懸念と景気減速懸念のどちらが意識されるか、株価や米金利の基調に変化が見られるかなどを慎重に見極めながらの取引が必要となりそうだ。

 豪州からは20日に2月雇用統計の発表が予定されている。2月17-18日の会合でついに金融緩和へと舵を切った豪準備銀行(RBA)だが、声明文などからは追加緩和への慎重な姿勢がうかがえた。今回の雇用統計が追加緩和観測を後押しする結果となるか確認しておきたい。なお、RBAは前回の会合で労働市場については「依然として逼迫している」と言及。「賃金の伸びは鈍化した」としたものの、「雇用増加が世帯収入を押し上げている」との見解も示していた。

 隣国のニュージーランド(NZ)では前週にオアNZ準備銀行(RBNZ)総裁の突然の辞任が発表されたが、一部市場では「総裁の交代によってRBNZの今後の利下げ余地が小さくなる可能性がある」といった声も聞かれた。オア総裁は前回の金融政策決定会合時に「4月と5月に25bpの引き下げを想定」「(現在の)3.75%は中立金利のレンジ上限」「年末までに政策金利は3%程度になると予想」などと追加緩和姿勢を明確にしていたが、4月からの臨時総裁とその後の次期総裁の下で金融政策の方向性に変化が生じるか確認していきたい。なお、次期総裁候補としてはホークスビー副総裁やシルク副総裁、NZ財務省の首席経済顧問であるスティーブンス氏などが有力視されているようだ。

 南アフリカ・ランド(ZAR)は荒い値動きに注意が必要となるだろう。来週は19日に2月消費者物価指数(CPI)、20日に南アフリカ準備銀行(SARB)の金融政策決定委員会(MPC)が控えている。市場では現在の7.50%から7.25%への金利引き下げが予想されているが、一部で金利据え置きを見込む向きもあり、前日発表のCPIとともに注目が集まる。

 また、南アフリカ国内の政治情勢にも注意。今週発表された予算案で、付加価値税(VAT)の引き上げ幅は2025年5月から0.5%、26年4月からはさらに0.5%とされたが、国民統一政府(GNU)で連立を組む民主同盟(DA)は依然としてVATの引き上げに反対しており、予算案を支持しないと表明。アフリカ民族会議(ANC)とDAの交渉決裂、GNUからのDA離脱などのリスクが高まるとZARには下押し圧力が強まりそうだ。

3月10日週の回顧
 豪ドルは対ドル・対円ともに方向感が定まらなかった。豪ドル円はドル円が昨年10月以来の安値をつけたタイミングで、昨年8月以来の安値となる91.82円まで下落したものの、その後はドル円の買い戻しが入ったことで下げ止まった。ZARも同様に方向感の乏しい動き。ZAR円は8.05円を挟んだ水準で神経質に上下した。(了)
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