週間為替展望(豪ドル/ZAR)-ZAR、国内政治混迷が重し
◆豪ドル、金融政策の方向性不透明で経済指標を見極める展開
◆NZドル、利下げ方向変わらず上値は限定的
◆ZAR、国家予算演説が延期され国内政治の混迷が重し
予想レンジ
豪ドル円 94.00-97.50円
南ア・ランド円 7.70-8.30円
2月24日週の展望
豪ドルは方向感のない動きになりそうだ。豪準備銀行(RBA)理事会では、市場予想通りに25bp利下げし、政策金利を4.10%まで引き下げた。ただ、声明では更なる緩和については慎重な姿勢とした。豪4大銀行のうちNABは今後4回の利下げで政策金利を3.10%まで引き下げとの予想だが、CBAとウェストパックは3回利下げの3.35%まで、ANZに至っては1回利下げの3.85%までという見通しだ。各行によって利下げ予想幅にばらつきがあるように、今後のRBAの動向を見極めるのは難しく、経済指標の結果次第になるだろう。RBAの方向性の見極めが定まらない中で、来週は豪州から26日に1月の消費者物価指数(CPI)、27日には国内総生産GDP(3月5日発表予定)の構成の一つとなる10-12月期民間設備投資などが発表される。これらの経済指標の結果次第で、今後のRBAの方向性を探っていく展開になりそうだ。今週発表された1月の雇用統計では、新規雇用者数が予想を上回り、中でも常勤雇用者が増加するという強い雇用結果だった。来週の経済指標が好結果だった場合は、RBAの利下げ圧力が弱まり豪ドルを支えることになるだろう。
隣国ニュージーランド(NZ)の中銀・NZ準備銀行(RBNZ)は19日、3会合連続で50bpの利下げを行っただけではなく、オアRBNZ総裁は「4月と5月にも25bpの追加利下げを想定している」と述べた。サプライズではないものの、利下げ継続予想がNZドルの重しになりそうだ。NZからは24日に10-12月期小売売上高、27日に2月ANZ企業景況感・信頼感が発表される。
また、南アフリカ・ランド(ZAR)は南ア国内の政治的混迷が、売り要因として重くのしかかる。付加価値税(VAT)の15%から17%への引き上げについて国民統一政府(GNU)内で合意が得られなかったことで、19日発表予定だった国家予算演説が3月12日まで延期されるという異常事態に陥った。連立に参加している第2党・民主同盟(DA)は、VATを含め、税金の引き上げには反対を表明している。しかしながら、南アの財政が厳しいことは明らかであり、第1党・アフリカ民族会議(ANC)も対処方法が見いだせていない。ANCが財政再建のために強引にVATなどを引き上げた場合には、DAの連立離脱が確実視され、南アの政局がより混迷を深めるだろう。なお、経済指標では今週19日に予定されていた1月CPIが延期されて26日に発表予定。27日には卸売物価指数(PPI)、28日には貿易収支などが公表される。
2月17日週の回顧
豪ドルは対ドルでは底堅かったものの、対円ではドル円の急落を受けて下落した。対ドルでは1月の雇用統計を受けて買われる場面もあったが、株安を嫌気し上値も抑えられた。ただ、週末にかけては米金利低下から再び買われている。ZARは上値が重い。予算発表が延期されたことで、南ア政局への不安によるZAR売りが進んだ。ベッセント米財務長官が来週南アで開かれるG20を欠席すると報じられるなど、米国との関係悪化報道も流れたが、この1カ月にわたり米国の圧力報道が多いことで反応は薄れてきている。(了)
◆NZドル、利下げ方向変わらず上値は限定的
◆ZAR、国家予算演説が延期され国内政治の混迷が重し
予想レンジ
豪ドル円 94.00-97.50円
南ア・ランド円 7.70-8.30円
2月24日週の展望
豪ドルは方向感のない動きになりそうだ。豪準備銀行(RBA)理事会では、市場予想通りに25bp利下げし、政策金利を4.10%まで引き下げた。ただ、声明では更なる緩和については慎重な姿勢とした。豪4大銀行のうちNABは今後4回の利下げで政策金利を3.10%まで引き下げとの予想だが、CBAとウェストパックは3回利下げの3.35%まで、ANZに至っては1回利下げの3.85%までという見通しだ。各行によって利下げ予想幅にばらつきがあるように、今後のRBAの動向を見極めるのは難しく、経済指標の結果次第になるだろう。RBAの方向性の見極めが定まらない中で、来週は豪州から26日に1月の消費者物価指数(CPI)、27日には国内総生産GDP(3月5日発表予定)の構成の一つとなる10-12月期民間設備投資などが発表される。これらの経済指標の結果次第で、今後のRBAの方向性を探っていく展開になりそうだ。今週発表された1月の雇用統計では、新規雇用者数が予想を上回り、中でも常勤雇用者が増加するという強い雇用結果だった。来週の経済指標が好結果だった場合は、RBAの利下げ圧力が弱まり豪ドルを支えることになるだろう。
隣国ニュージーランド(NZ)の中銀・NZ準備銀行(RBNZ)は19日、3会合連続で50bpの利下げを行っただけではなく、オアRBNZ総裁は「4月と5月にも25bpの追加利下げを想定している」と述べた。サプライズではないものの、利下げ継続予想がNZドルの重しになりそうだ。NZからは24日に10-12月期小売売上高、27日に2月ANZ企業景況感・信頼感が発表される。
また、南アフリカ・ランド(ZAR)は南ア国内の政治的混迷が、売り要因として重くのしかかる。付加価値税(VAT)の15%から17%への引き上げについて国民統一政府(GNU)内で合意が得られなかったことで、19日発表予定だった国家予算演説が3月12日まで延期されるという異常事態に陥った。連立に参加している第2党・民主同盟(DA)は、VATを含め、税金の引き上げには反対を表明している。しかしながら、南アの財政が厳しいことは明らかであり、第1党・アフリカ民族会議(ANC)も対処方法が見いだせていない。ANCが財政再建のために強引にVATなどを引き上げた場合には、DAの連立離脱が確実視され、南アの政局がより混迷を深めるだろう。なお、経済指標では今週19日に予定されていた1月CPIが延期されて26日に発表予定。27日には卸売物価指数(PPI)、28日には貿易収支などが公表される。
2月17日週の回顧
豪ドルは対ドルでは底堅かったものの、対円ではドル円の急落を受けて下落した。対ドルでは1月の雇用統計を受けて買われる場面もあったが、株安を嫌気し上値も抑えられた。ただ、週末にかけては米金利低下から再び買われている。ZARは上値が重い。予算発表が延期されたことで、南ア政局への不安によるZAR売りが進んだ。ベッセント米財務長官が来週南アで開かれるG20を欠席すると報じられるなど、米国との関係悪化報道も流れたが、この1カ月にわたり米国の圧力報道が多いことで反応は薄れてきている。(了)