週間為替展望(豪ドル/ZAR)- 豪ドル、10‐12月期GDPに注目

◆豪ドル、10‐12月期GDPに注目
◆豪ドル、引き続きトランプ関税の行方に警戒
◆ZAR、米国の圧力や予算案の不透明感が重しに

予想レンジ
豪ドル円 92.00-96.00円
南ア・ランド円 7.70-8.30円

3月3日週の展望
 豪ドルは豪州の経済指標とトランプ政権による関税の行方を見極める展開になる。来週、豪州からの経済指標では、3月5日の10-12月期国内総生産(GDP)に注目。GDPは、前期比で前回値の0.3%から0.5%へ、前年比でも0.8%から1.2%へ上昇するとの予想。1月の雇用指標が好結果で、今週発表された消費者物価指数(CPI)はトリム平均値が前月の2.7%から2.8%へ上昇した。GDPが予想を上回ると、堅調な雇用情勢とインフレ低下の勢いの弱まりで、RBAの再利下げ期待も遠ざかり、豪ドルは買われやすいだろう。他の経済指標では、3月6日に1月の住宅建設許可件数、貿易収支が発表予定。なお、3月4日には豪準備銀行(RBA)の議事要旨が公表されるが、目新しいことが記されているとは考えにくく影響は限定的となりそうだ。

 また、5日にはハウザーRBA副総裁が講演を行う予定。トランプ関税についてはカナダとメキシコへの課税は再延期されたと思われたが、トランプ米大統領は週末にかけて再び「3月4日に発動」と言及している。また、欧州連合(EU)にも関税圧力をかけるなど、予断を許さない状況は変わらず、引き続きトランプ米大統領の動向には警戒しておきたい。

 隣国ニュージーランド(NZ)からは3月4日に1月住宅建設許可件数が発表予定。また、3月6日にはNZ政府の7カ月財政ステートメントが公表され、3月6-7日にはNZ準備銀行(RBNZ)がインフレ・リサーチ・コンフェレンスを開催する。この会合にはオアRBNZ総裁のほか、マン英中銀MPC(金融政策委員会)委員やバーナンキ元米連邦準備理事会(FRB)議長も登壇する。

 南アフリカ・ランド(ZAR)は上値の重さは変わらないだろう。今週南アで開催されたG20財務相・中央銀行総裁会議では、ベンセント米財務相が参加しないなど米国の南アに対する圧力が継続されている。米国にとって、南アとの関係悪化は経済的にも政治的にも影響力が少なく、今後も圧力が増すことが想定される。ZARの重しとなりそうだ。また、3月12日に延期された予算発表を前に、南ア歳入庁(SARS)長官が増税に反対するなど、アフリカ民族会議(ANC)は内外両面から増税案を反対されている。予算前に様々な憶測が流れ、内容次第ではZARが動意づきそうだ。なお、南アからは3月4日に10-12月期のGDP、3月6日に経常収支、3月5日にBER企業信頼感が発表される。経常赤字拡大の場合には注意が必要。

2月24日週の回顧
 豪ドルは対ドル、対円ともに上値が重かった。先週末に対ドルでは年初来高値となる0.64ドル台に乗せたが、今週は上値の重い展開。週末にかけてトランプ関税を嫌気して大幅な下落となっている。対円では、依然として日銀の利上げ期待が高いことが重しになった。ZARも上値が重い。値幅は限られたものの対円では年初来安値を更新した。トランプ政権発足後に国際情勢の不安が高まっていることによるリスク回避の動きや、南アの予算をめぐる不透明感がZARの売り要因として響いている。(了)
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