ロンドン為替見通し=ウクライナ停戦交渉、欧米貿易摩擦、独財政パッケージなどに要注目

 本日のロンドン為替市場のユーロドルは、主要な経済指標や要人発言の予定がないことで、ウクライナ停戦交渉や欧米貿易摩擦の行方、そして明日のドイツ連邦議会で採決が予定されている独財政パッケージに関するヘッドラインに警戒していく展開が予想される。

 ウクライナ情勢に関しては、ゼレンスキー・ウクライナ大統領が30日間の停戦案受け入れを表明したものの、ロシア側は「危機の根本原因を取り除くものでなければならない」「ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟排除」などと注文をつけ、事実上受け入れを拒否している。

 欧米の通商摩擦に関しては、欧州委員会が、EUの輸出額に相当する総額260億ユーロの2段階から成る対抗措置を発表した。第1段階では、4月1日に第1次トランプ政権当時に導入した報復関税を復活させ、第2段階として4月13日から、対象を拡大した報復関税を発動する予定となっている。
 トランプ米政権も更なる関税賦課を示唆しており、今後も関連ヘッドラインに警戒しておきたい。

 メルツ独CDU党首が提案している防衛・インフラ投資支出パッケージの採決が明日18日にドイツ連邦議会で採決されるが、キャスティング・ボートを握る「緑の党」が支持を表明していることで、可決される見込みとなっている。
 ドイツの旧議会での憲法改正の所要議席数は490議席だが、社会民主党(SPD)とキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)で447議席、緑の党の118議席を加えると565議席となり、憲法改正により債務ブレーキを破棄することができる。
 
 ユーロドルは、財政拡大というゲーム・チェンジャーにより1.09ドル台まで上昇してきたが、「思惑で仕掛けて事実で手仕舞う」ことになるのか、それとも1.10ドル台に向けて上昇していくのか要注目となる。
 
想定レンジ上限
・ユーロドル:1.0947ドル(3/11高値)
・ユーロ円:162.36円(3/12高値)

想定レンジ下限
・ユーロドル:1.0775ドル(日足一目均衡表・転換線)
・ユーロ円:160.55円(日足一目均衡表・転換線)


(山下)
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