ロンドン為替見通し=独財政拡大政策もロシアの停戦不同意が上値抑えるか

 本日のロンドン為替市場のユーロドルは、2月のユーロ圏消費者物価指数改定値を確認した後は、独財政拡大政策という買い材料とプーチン露大統領によるウクライナ停戦合意に不同意という売り材料を見極めながら、FOMC声明を待つことになる。

 ドイツの財政拡大政策への転換を受けて、欧州中央銀行(ECB)の利下げ打ち止め観測が高まっている。本日のセンテノ・ポルトガル中銀総裁、デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、ビルロワドガロー仏中銀総裁、エルダーソンECB専務理事の講演では、市場で台頭している利下げ打ち止め観測と来年の利上げ観測への見解に注目しておきたい。

 昨日のトランプ米大統領とプーチン露大統領の電話協議では、プーチン露大統領はウクライナのエネルギー資産に対するロシアの攻撃を財政拡大政策制限することを確約したが、米国が求めていた広範な30日間の停戦には同意しなかった。
 しかし、トランプ米大統領はウクライナ停戦合意に意欲を示しており、関連ヘッドラインには注目しておきたい。

 ドイツの財政拡大政策というユーロ買い材料をウクライナ情勢の不透明感という売り材料が打ち消した形だが、FOMCでは現状の金融政策の維持が予想されており、パウエルFRB議長の会見などを見極めて行くことになる。

 また、4月2日に発動予定のトランプ相互関税への警戒感なども、ユーロドルの1.1ドル台乗せのハードルを高めているのかもしれない。
 さらに、中期的なリスクシナリオとして、欧州の再軍備計画やドイツの財政拡張の財源としての国債増発により、欧州債務危機の再来懸念などが挙げられている。
 格付け会社フィッチ・レーティングスは、「支出が財政再建や成長の持続的な改善によって相殺されなければ、ドイツの AAA 格付けに圧力がかかる可能性」と警告している。

想定レンジ上限
・ユーロドル:1.1040ドル(2024/10/4高値)
・ユーロ円:164.19円(3/18高値)

想定レンジ下限
・ユーロドル:1.0868ドル(日足一目均衡表・転換線)
・ユーロ円:161.50円(3/17安値)


(山下)
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