週間為替展望(ドル/ユーロ)-引き続き米関税政策の行方に警戒

◆ドル円、日米の金融政策会合通過も手掛かり材料乏しい
◆足元の米経済指標に再度注目が集まる
◆ユーロドル、一段高には新たな材料が必要

予想レンジ
ドル円   146.50-151.50円
ユーロドル 1.0750-1.1000ドル

3月24日週の展望
 ドル円は、日米の金融政策決定会合を通過したものの、明確な方向性をつかめておらず神経質な展開が続きそうだ。日銀は予想通り政策金利を据置いた。植田日銀総裁は定例記者会見で従来通り、「経済・物価の動向次第で利上げを検討する方針」を示したが、声明でも追記されていたように米国関税政策の影響をかなり警戒しており、米国の動向を見極める慎重な姿勢が印象付けられた。市場では、次回の利上げは早くても参院選前の6月とみられており、しばらくは日銀の利上げを材料とした為替の動きは限られそうだ。

 また、米連邦公開市場委員会(FOMC)では成長見通しが大きく引き下げられ、米国債の縮小ペースが引き下げられるなどハト派寄りの内容だった。一方で、来年以降のインフレ・政策金利見通しが上方修正されるなどタカ派的な部分も見られるなど、全体的にみれば強弱入り混じる内容となった。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は記者会見で米関税政策によるインフレリスクを織り込んだうえで、今後の経済への影響を注視する慎重な姿勢を示した。

 結果としては、両中銀による今回の政策発表でドル円の動向を方向付けるには材料に乏しく、米政権の行方を見極めながら、今後発表される経済指標を丁寧に確認する必要があるだろう。来週は24日に3月購買担当者景気指数(PMI)速報値、25日に2月新築住宅販売件数や3月消費者信頼感指数、26日に2月耐久財受注、27日に10-12月期国内総生産(GDP)確定値、28日に2月PCEコアデフレータや3月ミシガン大消費者態度指数確報値の発表が予定されている。

 ユーロドルも方向感に欠ける動きが想定される。独債務ブレーキ改憲案が可決し、財政拡張期待は引き続きユーロの支えとなりそうだが、すでに同材料を手掛かりに3月初旬から大きく上昇しただけに一段高には新たな材料が必要だろう。また、2月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値が下方修正されたことで欧州中央銀行(ECB)の利下げ観測が再び燻りだしたことも重しとなりそうだ。

3月17日週の回顧
 ドル円は一進一退。週明けは148円台を中心に方向感がなかったが、日経平均株価や米長期金利の上昇をきっかけに18日には買いが強まり150円手前まで値を上げた。米関税政策への警戒感から149円台前半まで押し戻されたが、米株高・金利上昇が支えとなり150.15円まで再び上げた。ただ、FOMC後は米金利が低下したため一転して148円台前半まで失速した。

 ユーロドルは上値が重かった。独財政拡大やウクライナの停戦協議進展への期待から一時1.0955ドルと昨年10月10日の高値に面合わせした。しかし、その後はトルコの政情不安やHICPの下方修正などを受けて1.0815ドルまで一転下落している。(了)


(越後)
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