ロンドン為替見通し=米自動車関税に対するEU側の反応を見定め

 本日のロンドン為替市場では、まずは米国の自動車関税に対する欧州連合(EU)の反応や欧州株式市場への影響を見定めながの値動きか。トランプ米大統領が米国外で生産された自動車に25%の関税発動を発表後、オセアニア市場でユーロドルは約3週間ぶりの安値となる1.0733ドルをつけた。ただし、一巡後は下げ渋っている。
 
 先日トランプ大統領は関税の柔軟性を示唆したものの、今回の自動車関税については「恒久的なもの」と言及。一時はトランプ政権と話し合う姿勢を示したEUだが、再び態度を硬直化させて4月半ばに延期した報復関税も発動が早まるかもしれない。

 もっとも、トランプ大統領がまた考えを変えてくる可能性はある。というのも、米自動車メーカーは関税対象のメキシコやカナダでも生産し、国内で販売される自動車の約半分が輸入車だからだ。今回の措置で米国内で自動車価格の上昇が予想され、そうなると買い手控えの動きも広がるだろう。景気減速を懸念する声が高まれば、トランプ氏も無視できないのではないか。

 なお本日は欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーの発言が複数予定されているものの、多くは欧州夕刻とやや遅い。そのなかで、ビルロワドガロー仏中銀総裁は欧州前半、デギンドスECB副総裁がニューヨーク勢の参入直後に講演が行われる。基本的には、トランプ関税に絡んだ不確実性の高まりが指摘されることになりそうだ。

 他、ディングラ英中銀金融政策委員会(MPC)委員が講演予定。昨日発表された2月英消費者物価指数(CPI)は総じて予想を下回った。こちらについての同MPC委員の見解や、同じく昨日公表された春季財政報告を受けた先行きインフレ見通しなどに注目したい。

想定レンジ上限
・ユーロドル、25日高値1.0830ドル
・ポンドドル、20日高値1.3015ドル

想定レンジ下限
・ユーロドル、200日移動平均線1.0727ドルを下抜けると日足一目均衡表・基準線1.0658ドル
・ポンドドル、200日移動平均線1.2803ドル

(小針)
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