ロンドン為替見通し=関税関連のヘッドラインに注目する展開が続く

 本日の欧州タイムでは、ドイツの2月鉱工業生産や貿易収支、ユーロ圏の2月小売売上高などの発表が予定されているが、関税関連のヘッドラインに注目する展開が続くだろう。

 トランプ米大統領が発表した欧州連合(EU)加盟国からの輸入品への関税強化に対抗するため、EUが最大で280億ドル相当の米国からの輸入品に対する報復関税の第1弾を数日以内に発表することを目指している。この報復関税について欧州議会で9日に承認を求め、承認された場合には導入を2段階に分けて一部の品目には15日から適用し、残りは1カ月後に実行する予定だが、報復関税の強弱で加盟国間に意見が分かれている。マクロン仏大統領は「事態が明確になるまで」欧州企業が米国への投資を停止すべきと、関税をはるかに超える報復措置を導入すべきだと主張している一方で、輸入先の約3割超が米国となるアイルランドは慎重な対応を求め、イタリアは報復関税に疑問を示している。中国はすでに同水準の報復関税を決定しており、EUの報復関税と「報復関税を決める国にはさらなる関税を課す」としているトランプ米大統領の「次の一手」が注目される。

 市場の混乱は当面続きそうで、リスク回避の円買い圧力が続きそうだが、関税関連のヘッドラインに値幅を伴った乱高下に要注意。関税によるユーロ圏の景気への懸念が強まるも、これは米国も同じであり、ユーロドルは方向感が欠ける動きが見込まれる。リスク回避局面では円買いだけではなく、ドル買いに傾く可能性もあるが、世界を相手に関税を強化した米国経済への懸念が一段と高まれば、ドルは再び売りに押されるだろう。

・想定レンジ上限
 ユーロドルの上値めどは、先週末4日の高値1.1108ドル、ユーロ円は日足一目均衡表・転換線161.24円。

・想定レンジ下限
 ユーロドルの下値めどは、21日移動平均線1.0866ドル、ユーロ円は日足一目・雲の下限158.12円。

(金)
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