欧州マーケットダイジェスト・9日 関税絡みの報道で乱高下

(9日終値:10日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=147.04円(9日15時時点比△1.93円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=161.39円(△0.87円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0975ドル(▲0.0087ドル)
FTSE100種総合株価指数:7679.48(前営業日比▲231.05)
ドイツ株式指数(DAX):19670.88(▲609.38)
10年物英国債利回り:4.779%(△0.174%)
10年物独国債利回り:2.591%(▲0.040%)

※△はプラス、▲はマイナスを表す。

(主な欧州経済指標)
特になし

(各市場の動き)
・ドル円は底堅い動き。トランプ米政権はこの日、予定通り相互関税(上乗せ分)を発動。中国に対する追加関税は累計104%となった。一方、欧州連合(EU)は米政権の関税強化に対する初の報復措置を承認。鉄鋼とアルミニウムへの関税を受けた対抗策で、農産物や鉄鋼、家電などの米国製品に最大25%の追加関税を課すとした。また、中国政府は米国から輸入する製品に対する関税を84%に引き上げると表明した。
 米国と貿易相手による関税の応酬が世界景気に悪影響を及ぼすとの懸念から、欧州株相場や時間外のダウ先物が下落するとリスク回避の円買い・ドル売りが先行。ベッセント米財務長官が最近の円高について「自然な流れ」と発言したことも相場の重しとなり、21時30分過ぎに一時144.00円と昨年10月以来の安値を付けた。
 ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢に。安く始まった米国株相場が底堅く推移したほか、注目されていた米10年債入札が「堅調」だったことで、ドル円はじり高の展開が続いた。
 その後、トランプ米大統領が「中国への関税を125%に引き上げる」とした一方、「米国に対して報復措置を取っていない国・地域を対象に関税引き上げを90日間一時停止する」と明らかにすると、ダウ平均が2600ドル超上昇したほか、ナスダック総合が10%超急騰。ドル円にも買いが集まり、3時過ぎには一時148.27円まで急伸した。

・ユーロドルは頭が重かった。対円などでドル安が進んだ流れに沿ってユーロ買い・ドル売りが先行すると、21時30分過ぎに一時1.1095ドルと日通し高値を更新した。ただ、節目の1.1100ドル手前では買いが一服。米政権の「相互関税」に伴う世界経済の先行き不透明感が高まる中、欧州株相場の下落に伴うユーロ売りも出た。
 NY午後に入ると、トランプ米大統領が自身のSNSに「相互関税の上乗せ部分を90日間停止する」と記したことが材料視され、全般ドル買いが進行。3時過ぎに一時1.0914ドルと日通し安値を更新した。

・ユーロ円はドル円とユーロドルの値動きの影響を同時に受けたため、しばらくは大きな方向感が出なかったが、NY午後に上昇した。トランプ米大統領がこの日発動した「相互関税」の一部について「90日間の一時停止を許可する」と発表すると、米国株相場が急騰。投資家の過度なリスク回避姿勢が和らぎ円売り・ユーロ買いが進んだ。ドル円の上昇につれた買いも入り、3時過ぎに一時161.98円と日通し高値を付けた。

・ロンドン株式相場は大幅反落し。昨年3月11日以来約1年1カ月ぶりの安値で取引を終えた。中国が米相互関税に対する報復措置を発表すると、関税の応酬が世界景気の悪化につながるとの懸念が高まり売りが広がった。トランプ米大統領が輸入医薬品に対する大規模な追加関税を示唆したことで、アストラゼネカやグラクソスミスクラインなど医薬品が売られた。原油価格の下落を背景にBPやシェルなどエネルギー株も軟調だった。

・フランクフルト株式相場は大幅に反落し、昨年11月29日以来の安値となった。米「相互関税」に伴う世界経済の先行き不透明感が高まる中、売りが先行。中国が米相互関税への報復措置を発表すると投資家心理がさらに悪化し、売りが加速した。フランスの株価指数は3.34%安、イタリアは2.75%安、スペインは2.22%安となるなど、欧州の主要な株式相場は軒並み下落した。

・欧州債券相場は英国債が下落した一方、独国債が上昇した。

(中村)
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