ニューヨーク外国為替市場概況・10日 ドル円、大幅反落

 10日のニューヨーク外国為替市場でドル円は大幅に反落。終値は144.45円と前営業日NY終値(147.76円)と比べて3円31銭程度のドル安水準だった。米政権による関税を巡り中国は米国に譲歩しない姿勢を維持。米中の貿易戦争激化への懸念から、米国株相場が大幅に下落した。米長期債やドルも売られ、「トリプル安(株安・債券安・通貨安)」の様相が強まった。1時前には一時144.02円と日通し安値を更新した。
 主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時100.70と昨年10月以来の低水準を付けたほか、ダウ平均は一時2100ドル超下落。また、米長期金利の指標となる米10年債利回りは4.42%台まで上昇した。
 ただ、売り一巡後は下げ渋る展開に。前日の安値144.00円が目先サポートとして意識されると買い戻しが進み、4時30分前には145.13円付近まで下値を切り上げた。
 なお、前日にはトランプ米大統領が「相互関税」の上乗せ部分を一時停止すると発表し、米国株相場は急騰したものの、市場の不安心理は拭い切れていない。シカゴ・オプション市場(CBOE)でS&P500種株価指数オプションの値動きに基づいて算出される変動性指数(VIX、恐怖指数)は一時54.87まで急上昇した。

 ユーロドルは大幅反発。終値は1.1201ドルと前営業日NY終値(1.0949ドル)と比べて0.0252ドル程度のユーロ高水準となった。米中の貿易戦争激化への警戒感が根強い中、安全資産とされるスイスフランや円に対してドル売りが進むと、ユーロに対してもドル売りが先行した。3月米消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったことが分かると、発表直後こそドル買いが入ったものの、そのあとは再びドル売りが優勢に。3日の高値1.1144ドルを上抜けると一時1.1241ドルと2023年7月以来約1年9カ月ぶりの高値を更新した。
 なお、ドルスイスフランは一時0.8232スイスフランまで下落し、15年1月以来10年3カ月ぶりの安値を付けた。

 ユーロ円は小反落。終値は161.80円と前営業日NY終値(161.88円)と比べて8銭程度のユーロ安水準。ドル円の下落につれた売りが出た半面、ユーロドルの上昇につれた買いが入った。21時前に160.96円付近まで下げたものの、3時30分前には162.58円と日通し高値を付けた。

本日の参考レンジ
ドル円:144.02円 - 147.87円
ユーロドル:1.0943ドル - 1.1241ドル
ユーロ円:160.88円 - 162.58円

(中村)
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