ロンドン為替見通し=ユーロドル、ECBイベントで次の一手を探る展開か

 本日のロンドン為替市場では、欧州午後の欧州中央銀行(ECB)の政策金利発表やラガルドECB総裁の定例記者会見がメインイベント。昨日の米株急落のきっかけとされた「パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の早期利下げに慎重な考え」に対するラガルド総裁の見解も、注目ポイントの1つだろう。欧州金融イベントまでは、ニューヨーク市場で一気に広がったリスク回避ムードが欧州市場にも引き継がれるかに注視したい。トランプ関税を巡る報道にも依然として注意したい。

 パウエルFRB議長は昨日、景気の下支えにつながる早期の利下げには慎重な考えを改めて示した。「相場の下値リスクが高まっても、いざとなればFRBが緩和に動く」という期待感(いわゆる、パウエル・プット)が萎み、ナスダック総合などは一時4%超下げる場面があった。貿易を巡る米中対立で半導体企業の収益悪化が現実味を帯び始めており、リスクセンチメントの改善には時間がかかってしまうか。

 ECBが本日まで開催する定例理事会については、「政策金利を現行2.65%から2.40%に引き下げ」が市場では予想されている。足もとのユーロ圏インフレ率が2%台で落ち着いており、金利についてはサプライズなしだろう。声明では、今後の利下げペースに関する文言を探してみたい。

 ラガルドECB総裁の会見でも、「次の一手」についてどのような考えが示されるか注目。前述したように、昨日にパウエルFRB議長が示したスタンスに対するコメントも注意して聞きたい。ユーロドルは1.12ドル台では下げ渋ったものの、1.14ドル台では伸び悩む展開。イースター休暇を前に、欧州の市場参加者はリスクを積極的に取りづらいと思われ、直近レンジの中で上下が続いてしまうかもしれない。

 なおトルコ中銀も本日、政策金利を公表予定。主要金利は42.50%で据え置きが見込まれているものの、為替で高まっているリラの下値警戒感を和らげるために利上げを予想する声が一部で出てきた。サプライズ利上げであればリラが反発する場面はあるだろうが、先月のリラ急落のきっかけとなったトルコ政治への不信感が何ら取り除かれていないため、上げ幅は限られそうだ。

想定レンジ上限
・ユーロドル、11日高値1.1473ドル
・リラ円、日足一目均衡表・基準線3.85円

想定レンジ下限
・ユーロドル、15日安値1.1264ドル
・リラ円、3月19日安値3.61円

(小針)
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