NY為替見通し=引き続き関税が焦点は変わらず、連休控え神経質な動きか

 本日のNY時間では、引き続き関税に関する報道で上下することになりそうだ。また、明日18日はオセアニア、アジア、欧州など多くの市場が休場になり、為替市場は主に日本と米国市場のみがオープン、米国も株式・債券市場は休場となることで、3連休を控えてポジション調整の動きには警戒しておきたい。

 注目された日米関税交渉は、米国側がトランプ米大統領を含めた米政権中枢の要人が出席した。一方で日本側は、赤沢経済再生相本人自らが述べているように「格下の格下」との交渉では、合意に至るような結果が出るわけがなく、予想通りに結論は持ち越された。

 ただ、会談後にトランプ大統領が「大きな進展(Big Progress!)」とSNSで発したように、実際には米国が日本に対して様々な要求をした可能性がある。この要求に対して米政権内では日本が合意すると思っている可能性がある。その反面、日本側は日本人特有な「善処する」という玉虫色の回答で時間を稼ごうとしているのかもしれない。石破政権は「最も適切な時期に訪米しトランプ大統領と直接会談することを当然考えている」と悠長な発言をしているが、次回の協議は今月中に目指すとしていることで、2週間程度で目に見える形で進展を示せるか注目される。

 仮に交渉が遅々として進まない場合には、トランプ大統領は豹変し、会談後のように日本に配慮することはないだろう。2月7日に行われたトランプ大統領と石破首相の最初の首脳会談後に、石破首相は「トランプ大統領と胸襟を開いて、率直に意見を交わすことができ、内容も充実した非常に有意義な会談となった」と発言したものの、その後のトランプ大統領は日本を「ダーティ15」の国の一つとし日本を酷評している。政策だけでなく、態度や言動も二転三転するトランプ大統領なので、今月中に交渉に何も進展がない場合は、日本に対する圧力が増すことになりそうだ。

 また、今回の会談で「為替について議論が出なかった」と赤沢氏は発言したが、為替の協議担当は加藤財務相であることで、加藤氏不在の中では為替については日米間で公式には声明を出すことはできなかったのは頷ける。ただし、議論はなかったものの、米国の要求の一つに為替についてあった可能性も否定はできない。
 
 関税以外の注目点は、本日行われる欧州中央銀行(ECB)理事会後のラガルドECB総裁の会見にも注目したい。昨日のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長と同様に、関税の影響をこれまで以上に警戒しているのかを確かめたい。なお、本日は米国から住宅関連指標、米新規失業保険申請件数及び失業保険継続受給者数、フィラデルフィア連銀製造業景気指数などの経済指標が発表されるが、ここ最近は経済指標での市場の反応は限られていることで、本日も大きく動意づくのは難しいか。

・想定レンジ上限
 ドル円の上値めどは、15日高値143.59円。

・想定レンジ下限
 ドル円の下値は、これまでの本日安値141.62円。


(松井)
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