NY為替見通し=貿易関連報道に注意しつつ、要人発言を確認する展開か

 本日のNY為替市場のドル円は、週末の米中通商交渉を前に、複数の米金融当局者の発言内容を確認しつつ、貿易関連の報道に注意する展開が見込まれる。

 NY市場では主だった米経済指標の発表は予定されていないが、複数の米要人発言が予定されている。NY午前にウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁とバーキン米リッチモンド連銀総裁、グールズビー米シカゴ連銀総裁が、NY午後にはウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事とウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁の発言機会が予定されている。グールズビー総裁は今年の米連邦公開市場委員会(FOMC)投票権を有している。

 7日のFOMC後、パウエルFRB議長は会見で利下げを急がない姿勢を示したことで、米金利先安観は後退。金利先物市場での利下げ開始時期は7月に後退している。トランプ政権の関税政策に対する不透明感が高まると共に、米経済に「スタグフレーション」の影がちらつく中、今後の景気や金利見通しについて言及があれば材料視される可能性がある。

 本日に限った事ではないが、米貿易関連の報道に対する備えも怠らないようにしたい。週末に米中通商交渉を控える中、交渉への期待が高まる発言が伝わればリスクオンの流れを後押しすることが予想される反面、会談に対する悲観的発言が伝わるとリスク回避ムードに傾く展開もあり得る。交渉前ではあるが発言一つで市場のセンチメントが変わる恐れがある局面だけに、関係者からの発言には注意したい。

 そのほか引き続き、トランプ米大統領の発言にも警戒が必要だ。昨日は「今すぐ株を買った方がいい」と発言したことで、米株が上昇してリスクオンの地合いになると、ドル円は146円台に上昇した。週末に米中通商交渉を控えていることもあり、ひとたび発言が伝わると相場かく乱要因となる恐れは十分にあるといえる。

 他方、カナダでは4月雇用統計が発表される。市場予想は失業率が前月より0.1%悪化して6.8%、新規雇用者数は前月の減少に反して0.50万人増となっている。普段は同時刻に米経済指標と重複することが多く、ドルの動きも注視する必要があるが、今回は同時刻に米指標の発表が予定されていないため、指標結果に対して素直な反応が見込まれる。


想定レンジ上限
・ドル円は、現時点での本日高値146.19円。超えると1月10日から4月22日の下落幅に対する38.2%戻し147.14円
・カナダドル円は、90日移動平均線105.33円

想定レンジ下限
・ドル円は、日足・一目均衡表の転換線・基準線144.08円。割り込むと21日移動平均線143.20円
・カナダドル円は、日足・一目均衡表の基準線103.34円


(川畑)
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