ロンドン為替見通し=ユーロドル、米格下げの影響が続くかどうかに注目

 週明け早朝から、先週末のNY引けを前に米格付け会社ムーディーズが米国の信用格付けを「AAA」から「AA1」に引き下げたことを背景としたドル売りが先行した。欧州勢参入後もこの動きが蒸し返されるかどうかに注目。米中の関税合戦が緩み、市場の過度な警戒感は緩んだものの、トランプ米政権の関税政策の先行き不透明感が払しょくされていないことや、トランプ関税に市場の悲観的な見方が強いことを鑑みると、「米国売り」再燃の警戒感は残されている。

 欧州タイムでは、4月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)の発表が予定されているが、改定値の発表であり、反応は限られそうだ。同速報値は前年比+2.2%と低下予想に反して伸び率は3月と同じとなり、同コアは+2.7%と3月の+2.4%から予想以上に伸びが加速した。関税が今後のインフレ率に大きく影響を与えるだけに、欧州連合(EU)と米政権との通商交渉が注目されるが、交渉に関してEUが米国への提案内容をより具体化する方向で見直しているとの報道もあり、協議関連の報道に注意を払いたい。

 また、ミュラー・エストニア中銀総裁の講演が予定されているが、4月に同総裁は貿易を巡る不確実性が経済成長に一段と深刻な影響をもたらすことが判明した場合、景気を刺激する水準まで金利を引き下げる必要があるとの認識を示した一方で、次回6月の政策決定会合では関税交渉やその時点のデータに基づいて判断するとした。関税の不確実性から欧州中央銀行(ECB)理事会で追加利下げをめぐり見解が分かれている。

・想定レンジ上限
 ユーロドルの上値めどは、日足一目均衡表・転換線1.1222ドルや同基準線1.1319ドル。ユーロ円は日足一目均衡表・基準線163.10円や15日高値164.07円。

・想定レンジ下限
 ユーロドルの下値めどは、先週末16日の安値1.1131ドルや13日安値1.1085ドル。ユーロ円は7日安値161.94円や日足一目均衡表・雲の上限161.24円。

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