東京為替見通し=ドル円堅調推移、緊急FOMCの可能性に要警戒か

 14日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、予想を上回る6月米卸売物価指数(PPI)を受けて一時139.37円と日本時間夕刻に付けた約24年ぶりの高値139.39円に迫った後、ウォラーFRB理事が「今月は0.75%の利上げを支持する」と発言したことで138.71円付近まで下押しした。ユーロドルは、6月米PPIや伊政局不安などで0.9952ドルまで下落した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、26-27日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ観測(0.75%か1.00%?)を受けて底堅い展開が予想される。

 米連邦準備理事会(FRB)高官は、26-27日のFOMCに向けて、明日16日(土曜日)から28日(木曜日)までの13日間のブラックアウト期間に入ることで、金融政策に関する発言はできなくなる。
 昨日は、タカ派のメスター米クリーブランド連銀総裁やデイリー米サンフランシスコ連銀総裁が1%利上げの可能性に言及したが、ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事は「市場は1.00%利上げに関してやや先走った可能性」と釘をさしている。
 6月FOMCでの0.75%利上げを予告したウォールストリート・ジャーナル紙のFEDウォッチャー、ニック・ティミラオス記者は、「7月FOMCの利上げは1.00%ではなく、0.75%」と報じており、0.75%なのか1.00%なのかを巡り、予断を許さない状況が続くことになる。

 リスクシナリオは、2020年3月の「新型コロナウイルス」の感染拡大を受けて、3月17-18日の定例連邦公開市場委員会(FOMC)を待たずに、3回の臨時FOMCが開催され、金融緩和策が決定されたことの再現となる。
 さらに、現在の米国の物価高騰情勢は、1979年10月の「ボルカー・ショック」級の金融引き締めが必要との見方もあることで、「パウエル・ショック」の可能性にも要警戒か。
 ボルカー第12代FRB議長は、1979年10月6日(土曜日)に、緊急FOMCを開催し、金融政策の操作目標を、従来の「FF金利」から「マネーサプライ」の抑制に変更して、インフレ抑制の姿勢を示した。

 11時に発表される4-6月期中国国内総生産(GDP)は、前期比▲1.5%、前年同期比+1.0%と、マイナス成長が予想されている。新型コロナウイルスの感染再拡大に対する都市封鎖(ロックダウン)による景況感悪化によるものだが、7月になっても感染拡大が収まっていないことで、今後もオミクロン「BA.5株」の感染状況などに要警戒か。

 ユーロドルは、ユーロ圏の物価上昇と景気減速によるスタグフレーションへの警戒感、7月22日に定期点検が終了する「ノルド・ストリーム1」で、ロシアからの天然ガス供給が停止するのではとの警戒感、ドラギ伊首相の辞任表明を受けたイタリア政局への警戒感から、下値リスクに要警戒となる。


(山下)
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