欧州マーケットダイジェスト・15日 株高・金利低下・ドル安

(15日終値:16日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=138.53円(15日15時時点比▲0.43円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=139.60円(△0.34円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0076ドル(△0.0055ドル)
FTSE100種総合株価指数:7159.01(前営業日比△119.20)
ドイツ株式指数(DAX):12864.72(△345.06)
10年物英国債利回り:2.091%(▲0.010%)
10年物独国債利回り:1.133%(▲0.045%)

※△はプラス、▲はマイナスを表す。

(主な欧州経済指標)        <発表値>    <前回発表値>
5月ユーロ圏貿易収支
季調済            260億ユーロの赤字 318億ユーロの赤字・改
季調前            263億ユーロの赤字  324億ユーロの赤字

※改は改定値を表す。▲はマイナス。

(各市場の動き)
・ユーロドルは底堅い。辞任を表明したドラギ伊首相をマッタレッラ大統領が慰留したことで、リスク回避の姿勢が後退し、イタリア株中心に欧州株相場が上昇。ユーロにも買い戻しが先行した。
 NY市場では、6月米小売売上高が前月比1.0%増と予想の0.8%増を上回ったものの、前日にウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事が指摘した「予想よりも大幅に強い数字」ではなかったとの見方から、市場で台頭していた今月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での1%利上げ観測が後退し、ドル売りを誘った。
 また、23時発表の米ミシガン大学が発表した7月消費者態度指数(速報値)は51.1と予想の49.9を上回ったものの、注目度が高い期待インフレ率は前月から鈍化し、予想を下回った。これも米金融引き締め加速への過度な警戒感の緩和につながり、米金利の低下とドル売りを促した。24時30分前には一時1.0098ドルと本日高値を更新した。
 なお、ボスティック米アトランタ連銀総裁はこの日、「0.75%利上げは大きな動きであり、FRBは移行が秩序あるものになることを望む」「あまりにも劇的な動きは経済を弱体化させ、不確実性が増す可能性」と述べ、1%利上げには否定的な見方を示した。ボスティック氏は13日に「1%の利上げを検討する可能性がある」との見方を示していた。

・ドル円はじり安。ミシガン大が消費者態度指数に併せて発表した消費者の期待インフレ率で、5年先が2.8%と前月の3.1%から鈍化し1年ぶりの低水準を記録すると、FRBの急激な利上げ観測が後退しドル売りを促した。同指標はFRBが6月FOMCで0.75%の大幅利上げを決めた一因とされており、この結果が米金融引き締め加速への過度な警戒感の緩和につながった。注目の米小売指標が予想よりも大幅に強い数字ではなかったとの受け止めもドルの重しとなり、一時138.39円と日通し安値を更新した。
 なお、FOMCで投票権を有するブラード米セントルイス連銀総裁はこの日、「今月1%の極めて大幅な利上げを決定する必要性を強く感じていない」と述べたほか、「ドル高は米国のインフレ率低下を意味する」と指摘し、ドル高を容認する姿勢を示した。

・ユーロ円はしっかり。日本時間夕刻に一時138.75円と日通し安値を付けたものの、売り一巡後は買い戻しが優勢に。欧米株価の上昇を背景に投資家のリスク志向が改善すると円売り・ユーロ買いがじわりと強まった。前日の高値139.77円を上抜けて一時139.89円まで値を上げた。

・ロンドン株式相場は3日ぶりに反発。前日までは欧州景気の悪化懸念などを背景にリスク・オフの動きが加速したものの、本日は足もとの相場下落に対する自律反発狙いの買いが入り堅調に推移した。米国株の上昇につれた買いも入り、引けにかけて上げ幅を広げた。アストラゼネカやグラクソスミスクラインなど医薬品株の上昇が目立ったほか、原油高を背景にBPやシェルなどエネルギー株が買われた。

・フランクフルト株式相場は3日ぶりに大幅反発。足もとで相場下落が続いたあとだけに、本日は自律反発狙いの買いが優勢となった。辞任を表明したドラギ伊首相をマッタレッラ大統領が慰留したことで、リスク回避の姿勢が後退。イタリア株が反発したことも独株の支援材料となった。個別ではポルシェ(5.60%高)やコンチネンタル(5.00%高)、フォルクスワーゲン(4.70%高)などの上昇が目立ち、ドイツ証券取引所(0.37%安)を除く39銘柄が上昇した。

・欧州債券相場は上昇。市場では伊政局リスクを見極めたいとの雰囲気が広がった。

(中村)
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