NYマーケットダイジェスト・15日 株大幅高・金利低下・ドル安

(15日終値)
ドル・円相場:1ドル=138.57円(前営業日比▲0.39円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=139.63円(△0.40円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0080ドル(△0.0062ドル)
ダウ工業株30種平均:31288.26ドル(△658.09ドル)
ナスダック総合株価指数:11452.42(△201.23)
10年物米国債利回り:2.92%(▲0.04%)
WTI原油先物8月限:1バレル=97.59ドル(△1.81ドル)
金先物8月限:1トロイオンス=1703.6ドル(▲2.2ドル)

(各市場の動き)
・ユーロドルは反発。前日に辞任を表明したドラギ伊首相をマッタレッラ大統領が慰留したことで、リスク回避の姿勢が後退し、イタリア株中心に欧州株相場が反発。ユーロ買い戻しが先行した。
 NY市場では、6月米小売売上高が前月比1.0%増と予想の0.8%増を上回ったものの、前日にウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事が指摘した「予想よりも大幅に強い数字」ではなかったとの見方から、市場で台頭していた今月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での1%利上げ観測が後退し、ドル売りを誘った。
 また、米ミシガン大学が7月消費者態度指数(速報値)に併せて発表した消費者の期待インフレ率で、5年先が2.8%と前月の3.1%から鈍化し1年ぶりの低水準を記録したこともドル売りを促した。同指標はFRBが6月FOMCで0.75%の大幅利上げを決めた一因とされており、この結果が米金融引き締め加速への過度な警戒感の緩和につながった。24時30分前に一時1.0098ドルと本日高値を更新した。
 なお、ボスティック米アトランタ連銀総裁はこの日、「0.75%利上げは大きな動きであり、FRBは移行が秩序あるものになることを望む」「あまりにも劇的な動きは経済を弱体化させ、不確実性が増す可能性」と述べ、1%利上げには否定的な見方を示した。ボスティック氏は13日に「1%の利上げを検討する可能性がある」との見方を示していた。また、FOMCで投票権を有するブラード米セントルイス連銀総裁も「今月1%の極めて大幅な利上げを決定する必要性を強く感じていない」などと語った。

・ドル円は3日ぶりに反落。注目の米小売指標が予想よりも大幅に強い数字ではなかったとの受け止めがドルの重しとなり、23時30分過ぎに一時138.39円と日通し安値を更新した。米ミシガン大学が発表した期待インフレ率が前月から鈍化し予想を下回ったことも、FRBの急激な利上げ観測の後退を誘い、米金利の低下とドル売りを促した。

・ユーロ円は3日続伸。欧州を代表する株価指数のひとつユーロ・ストックス50指数が2.3%超上昇したほか、ダウ平均が650ドル超上げると、投資家のリスク志向が改善し円売り・ユーロ買いが強まった。前日の高値139.77円を上抜けて一時139.89円まで値を上げた。その後の下押しも139.55円付近にとどまった。

・米国株式市場でダウ工業株30種平均は6日ぶりに反発。米ミシガン大学が発表した7月消費者態度指数が予想を上回ったほか、消費者の期待インフレ率が前月から鈍化し、約1年ぶりの低水準を記録。市場で台頭していた今月のFOMCでの1%利上げ観測が後退し、急激な利上げが景気を冷やすとの観測が和らいだ。6月米小売売上高が米景気の底堅さを示す内容だったことも投資家心理の改善につながり、ほぼ高値引けとなった。
 ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は続伸した。

・米国債券相場で長期ゾーンは反発。ミシガン大が消費者態度指数に併せて発表した消費者の期待インフレ率が前月から鈍化し予想を下回ったことを受けて、FRBの急激な利上げ観測が後退し、債券買いを誘った。
 FRBでタカ派として知られるウォラー理事とブラード米セントルイス連銀総裁は前日に今月の会合で予想される利上げ幅について、0.75%を支持すると表明したが、本日はボスティック米アトランタ連銀総裁が「あまりにも劇的な動きは経済を弱体化させ、不確実性が増す可能性がある」との考えを示した。

・原油先物相場は反発。中東訪問中のバイデン米大統領と、石油輸出国機構(OPEC)主要国サウジアラビアのサルマン国王および最高権力者ムハンマド皇太子の会談が不調に終わるとの思惑が買いを誘った。バイデン大統領の増産の呼び掛けにサウジ側が応えるとの期待感は弱い。需給ひっ迫の局面となっても、十分に原油を供給できないとの見方が支援要因となった。

・金先物相場は小幅に続落。FRBの大幅な利上げ観測を受けたドル高によってドル建て金価格に割高感が生じ、動きを重くした。米株の堅調な推移も、リスク回避資産である金の購入意欲を後退させた。

(中村)
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