ロンドン為替見通し=ECB引き締めの影響を気にしながら欧州PMIを確認

 本日のロンドン為替市場では、欧州中央銀行(ECB)による金融引き締めの影響を依然として気にしながら、序盤に発表される仏独ユーロ圏の7月購買担当者景気指数(PMI、速報値)で足もとの景気動向を見極めることになる。

 ECBは21日に開いた理事会で、上げ幅としては2000年以来の大きさとなる0.50%の利上げを決定。買いで反応したユーロドルは、その後のラガルドECB総裁の会見を受けて下振れることもあったが、結局は1.02ドル台でニューヨークを引けた。

 欧州株などをみても、独・仏株はまちまち。債務負担増が懸念される南欧は全般上値が重かったが、ギリシャについては1%超上昇して終えた。全体としては、金融引き締め強化が地域経済の足かせになるという警戒感はそれほど高まっていないようにみえる。

 ただし債券市場に目を向けると、債権国ドイツと債務国イタリアの10年債利回りは18ベーシスポイント(bp)も拡大。株が強かったギリシャも、利回り格差は13bp開いている。イタリアについては、ドラギ伊首相の辞任など政局混乱も伊債売りを促したか。

 ECBは昨日、政策金利と同時に、域内での金利差拡大を防ぐプログラム「トランスミッション・プロテクション・インスツルメント(TPI)」を発表した。債券購入の規模に関しては、「あらかじめ制限されることはない」としている。ただその効果は未知数であり、懐疑的な見方が広がるようであれば、南欧債売りからの通貨ユーロ売りに繋がる可能性はまだありそうだ。

 仏独ユーロ圏の7月製造業/サービス部門PMI速報値は、総じて前回から下振れる見込み。仏独の製造業PMIについては50台まで低下が見込まれている。ロシアからの天然ガス供給に対する懸念が高まった時期でもあり、景況感判断のポイントとなる50を割り込む可能性も警戒しておきたい。

想定レンジ上限
・ユーロドルは日足一目均衡表・基準線1.0284ドル、ユーロ円が昨日から東京午前にかけてのレンジの半値141.15円。

想定レンジ下限
・ユーロドルは一目・転換線1.0115ドル、ユーロ円が18日安値139.38円、割り込むと一目・雲の下限138.46円。


(小針)
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