ロンドン為替見通し=まず伊政局に注目、メインはその後のECB

 本日のロンドン為替市場ではまずイタリア政局に注目だが、メインはやはり欧州中央銀行(ECB)の金融政策発表とラガルドECB総裁の定例記者会見となる。またロシア産天然ガスを巡る動きも気をつけておきたい。

 昨日はドラギ伊首相が主要政党の支持を得られなかったことを受け、総選挙がこの秋に前倒しされる可能性が高まった。前ECB総裁であり、伊経済の立て直しを期待されたドラギ首相の求心力低下が嫌気され、昨日の伊株主要指数は1.6%下落し、伊長期債も売られた。一方、独長期債は買われリスク回避ムードが高まっている。

 ドラギ首相は本日、改めて議会下院でその進退を明らかにするとされ、複数のメディアは辞意を表明する可能性が高いと報じている。その場合は、10月前後の総選挙実施が有力なようだ。それまでドラギ氏が暫定首相に留まると見られているが、選挙の世論調査では野党の保守連合が優勢とされるなかでは、首相ができることは限られるだろう。いずれにせよ、欧州序盤は伊政局を巡る同国金融市場の動きが鍵となりそうだ。

 ECBは本日、定例理事会の終了後に金融政策を発表する。ただし公表時間は通常より30分遅くなる予定。11年ぶりの利上げが決定される見込みのなか、アナリスト調査の中心値は0.25%の利上げ。一方で短期金融市場は昨日、0.50%の利上げ確率を5割ほど織り込んだとされ、利上げ幅が注目される。また、今後の利上げペースについてのヒントも声明やラガルド総裁の記者会見で探ることになる。

 またECBは、ユーロ圏内の分断化を阻止する新たな措置を発表するもよう。イタリアの金融市場が政局混乱で動揺しているなか、どのような方法が取られるのか注視される。

 他、ロシアからドイツなどに天然ガスを供給するパイプライン「ノルドストリーム1」の動向も気にかかる。予定通り稼働は再開される可能性は高いものの、供給量はこれまでの3割程度という見通し。さらにプーチン露大統領は、更なる削減も示唆していた。

想定レンジ上限
・ユーロドルは昨日高値1.0273ドル。

想定レンジ下限
・ユーロドルは日足一目均衡表・転換線1.0113ドル。


(小針)
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