ロンドン為替見通し=イタリア国債の動向と7月独Ifo企業景況感指数に要注目か

 本日のロンドン為替市場のユーロドルは、7月独Ifo企業景況感指数を見極めつつ、イタリア国債の動向に注目する展開が予想される。

 7月独Ifo企業景況感指数は90.2と予想されており、6月の92.3からの低下が見込まれている。先行指標でもある7月ドイツZEW景況感指数は-53.8で、6月の-28.0から大幅に悪化しており、予想を下回るネガティブサプライズに要警戒となる。

 また、先週の欧州中央銀行(ECB)理事会では0.50%の大幅利上げが決定された。しかしながら、ウクライナでの戦争を受けた地政学リスクやエネルギー危機への警戒感が高まる中での利上げ断行は、過去の2度の7月の利上げ失敗を想起せており、予断を許さない状況が続くことになる。
 ECBは、2011年7月に政策金利を+0.25%(1.25%⇒1.50%)引き上げたが、欧州のソブリン債危機が猛威を振るい始めていたことで、11月に利下げに転じた。
 2008年7月にも+0.25%(4.00%⇒4.25%)引き上げたが、世界金融危機により金融システムが機能不全に陥り、10月に利下げに転じた。

 今回の利上げは、ドラギ伊首相が辞任を表明して、イタリア国債が売られる状況の下での利上げだったことで、イタリア国債を念頭においた「伝達保護措置;トランスミッション・プロテクション・インスツルメント(TPI=Transmission Protection Instrument)」が発表された。イタリアは、多額の債務を抱えて政局混迷に陥っており、国債利回り上昇圧力を受けやすいため、債券購入措置が必要となる。TPIは、イタリア国債が対象と見られているが、効果に懐疑的な見方も多く、発表後にイタリアとドイツ国債の利回りスプレッドは拡大している。

想定レンジ上限
・ユーロドルの上値目処(めど)は、一目・基準線の1.0284ドル、ユーロ円は一目・転換線の139.73円。

想定レンジ下限
・ユーロドルの下値目処(めど)は、一目・転換線の1.0115ドル、ユーロ円は一目・雲の下限の138.46円。

(山下)
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