ロンドン為替見通し=イタリア政局とサンダースMPC委員の講演に要注目か

 本日のロンドン為替市場のユーロドルは、欧州の天然ガス価格の上昇と景気減速懸念、スタグフレーションへの警戒感やイタリアの政局混迷などから上値が重い展開が予想される。

 20日には、ドラギ伊首相がイタリア議会で演説を行い、再び内閣信任投票が行われる可能性がある。この投票で連立政党の政権協力が確認できれば、混乱が収束に向かうが、造反が続いたままならば、ドラギ伊首相は辞任し、イタリア政局の混迷に拍車がかかることになる。造反した連立与党の「五つ星運動」との協議が難航している模様で、辞任の可能性が高まっている。ドラギ伊首相が辞任した場合、新たな連立政権の再編や前倒し選挙の可能性など、政局混迷は必至となることで、ユーロへの売り圧力となる。

 21日の欧州中央銀行(ECB)理事会では、0.25%の利上げが示唆されている。しかしながら、現在10日間の定期点検で21日まで天然ガスの供給が停止している「ノルド・ストリーム1」に関して、22日からロシアによる天然ガス供給が再開されない可能性が警戒されている。もしロシアが、北大西洋条約機構(NATO)諸国によるウクライナへの武器供与やロシアへの経済制裁への対抗策として、天然ガスの供給を停止した場合、ドイツ経済はエネルギー危機に陥る可能性が高まることになる。

 タカ派のサンダース英中銀金融政策委員会(MPC)委員の講演では、8月4日のイングランド銀行金融政策委員会(MPC)での利上げ幅を見極めることになる。ベイリーBOE総裁は、8月MPCの政策決定について、「もう1回25ベーシスポイントという以外に検討中の選択肢が存在することを人々に理解してほしい」と述べ、より急ピッチな利上げに動く用意があると明確に示唆している。

想定レンジ上限
・ユーロドルの上値目処(めど)は、一目・転換線の1.0114ドル、ユーロ円は一目・基準線の140.58円。ポンドドルは、一目・転換線の1.1908ドル、ポンド円は7月14日の高値の165.20円。

想定レンジ下限
・ユーロドルの下値目処(めど)は、7月14日の安値の0.9952ドル、ユーロ円は一目・転換線の138.38円。ポンドドルは7月14日の安値の1.1760ドル、ポンド円は一目・転換線の162.80円。



(山下)
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