ニューヨーク外国為替市場概況・2日 ドル円、5日ぶり反発

 2日のニューヨーク外国為替市場でドル円は5営業日ぶりに反発。終値は133.17円と前営業日NY終値(131.61円)と比べて1円56銭程度のドル高水準だった。ペロシ米下院議長の台湾訪問で、米中間の緊張が激化するとの懸念から、アジア市場では一時130.41円と6月3日以来約2カ月ぶりの安値を付けたが、NY市場では底堅く推移した。
 デイリー米サンフランシスコ連銀総裁はこの日、「米連邦準備理事会(FRB)のインフレ対策は終了からほど遠い」と述べたうえ、「FRBが来年には利下げを始める」との観測が出ていることについて「困惑している。市場参加者はデータのどこを見ているのか。私の見通しとは異なる」と批判した。また、エバンズ米シカゴ連銀総裁は「9月会合での0.50%利上げは合理的だが0.75%でも問題ない」「9月以降は来年上期まで0.25%の追加利上げ継続を引き続き期待する」と述べたほか、メスター米クリーブランド連銀総裁は「インフレは全く落ち着いていない」「FRBはインフレ抑制にコミットしている」と語った。市場で台頭していたFRBが利上げペースを緩めるとの見方が後退し、米国債の売り(金利は上昇)とドル買いが強まった。ペロシ氏の台湾到着が無事確認されたことも円売り・ドル買いを促し、取引終了間際に一時133.18円と日通し高値を更新した。
 なおペロシ氏の台湾到着後、中国軍東部戦区は2日夜から台湾周辺で演習や実弾射撃などの軍事行動を実施し、中国人民解放軍は「4-7日に軍事演習を実施する」と表明したが、過激な報復行動は見られず、台湾情勢を巡るリスク・オフの動きはいったん和らいだ。市場では「米中間の緊張が大幅にエスカレートした場合の影響は大きいものの、現時点ではそのような可能性は低いだろう」との声が聞かれた。

 ユーロドルは3日ぶり反落。終値は1.0166ドルと前営業日NY終値(1.0262ドル)と比べて0.0096ドル程度のユーロ安水準だった。ペロシ氏の台湾訪問を巡り、米中関係の緊張を警戒した動きも見られたが、FRB高官らのインフレ警戒を改めて強調する発言をきっかけに米長期金利が大幅に上昇すると全般ドル買いが活発化した。前日の安値1.0205ドルを下抜けて一時1.0164ドルまで下げ足を速めた。
 NY序盤に一時2.52%台まで低下した米10年債利回りは2.77%台まで急上昇した。

 ユーロ円は4日ぶりに反発。終値は135.39円と前営業日NY終値(135.06円)と比べて33銭程度のユーロ高水準。台湾情勢を巡る地政学リスクへの不安から、リスク・オフの円買い・ユーロ売りが先行。21時30分過ぎに一時133.40円と5月13日以来の安値を付けた。ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢に。ドル円の上昇につれた買いが入り、一時135.41円と日通し高値を更新した。

本日の参考レンジ
ドル円:130.41円 - 133.18円
ユーロドル:1.0164ドル - 1.0294ドル
ユーロ円:133.40円 - 135.41円

(中村)
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