ロンドン為替見通し=米雇用統計待ち、英スタグフレーション懸念でポンドは要警戒

 本日の欧州時間では、日本時間21時30分に米雇用統計が発表されるまではもみ合いになると予想される。もっとも、イングランド銀行(BOE)が昨日27年ぶりの大幅利上げを実行したことで、ポンドの動きは引き続きボラタイルになりそうだ。

 BOEは昨日、政策金利を1.25%から1.75%まで引き上げた。同時に発表された議事要旨では「2022 年10-12月期のインフレ率は 13% 強まで上昇すると予想」とし、5月より3ポイント、6月よりも2ポイント上方修正した。

 本日講演が予定されているピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミストは、兼ねてから「必要に応じてより速いペースの引き締めを採用する準備がある」とインフレ高進に警戒を示していた。今回の議事要旨でインフレ予想を上方修正したこともあり、引き続きタカ派発言が出てくることが予想される。

 もっとも、金利上昇によるポンド買いよりも、現在懸念されているのが景気停滞の方だ。議事要旨にも「英国のGDP 成長率は鈍化している。ガス価格の最近の上昇は、英国と欧州の残りの地域での活動の見通しをさらに大きく悪化させた。今年の10-12月期から景気後退に陥ると予測される」とリセッション入りを明確に記した。また、「2022年と2023 年には家計の税引き後の実質所得が急激に減少」との見解も示された。

 昨日発表された7月の英建設業購買担当者景気指数(PMI)は市場予想を下回っただけでなく、景況の強弱を判断する節目50にも届かず悪化。インフレ高進の中の景気停滞(スタグフレーション)に一番近い国とも言えそうなことで、その国の通貨ポンドは売られやすいか。

 ユーロドルは7月27日に1.0097ドルまで弱含んだことを除くと、7月19日から長きにわたり1.01ドル台と1.02ドル台での振幅を繰り返してきた。設定が大きめのオプションが値動きを狭めているが、本日も1.0200ドル、1.0300ドルの節目にはそのようなオプションが観測される。米雇用統計がよほど市場予想より振れない限りはレンジ取引が続くことになるか。


・想定レンジ上限
 ユーロドルは、2日高値1.0294ドル。
 ポンドドルは、4日高値1.2210ドル。

・想定レンジ下限
 ユーロドルは、4日安値1.0155ドル。
 ポンドドルは、先月29日安値1.2063ドル。

(松井)
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