ロンドン為替見通し=8月製造業PMIに注目、ユーロやポンドは対ドルで重いままか

 本日のロンドン為替市場では、前半に発表される欧州の8月製造業/サービス部門購買担当者景気指数(PMI)速報値で景気動向を見極めながらの取引となる。特に、さえない結果が見込まれている仏独ユーロ圏の製造業PMIに注目か。

 8月製造業PMI速報値の市場予想は仏とユーロ圏が49.0、欧州最大の経済大国であるドイツは48.2まで低下する見通し。それぞれ、景況判断の境目とされる50を2カ月連続で割り込むことがほぼ確実視されている。経済成長の足かせとなる天然ガスの価格上昇が顕著であり、予想比下振れの結果も警戒しておきたい。

 ユーロドルは昨日、2002年以来の0.99ドル台でのNY引けとなった。このままパリティ割れの水準に慣れてしまうようであれば、ユーロ圏のポジティブ材料が乏しく、またドル高の流れも強まるなかで、投機筋にとって売りやすさが増しそうだ。ジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演を26日に控え、下サイドへの仕掛け的な動きには注意したい。

 英国でも8月製造業/サービス部門PMI速報値が発表される。前回から弱い数値が予想されているが、50を上回った水準は維持する見込み。ただインフレ圧力が高まり続けるなかで同国経済の減速懸念は根強く、ポンドの上値はまだ重いのではないか。

 なお、米シティグループは昨日、英消費者物価指数(CPI)が2023年1月にも前年比18%台に達するとの予想を示した。もし見込み通りであれば、1976年以来のインフレ率となる。シティのエコノミストは、インフレ高進の兆候が確認されれば、現行1.75%の政策金利が6-7%まで引き上げられる可能性もあるとしている。

想定レンジ上限
・ユーロドルは昨日高値1.0047ドル、ポンドドルも昨日高値1.1860ドル。

想定レンジ下限
・ユーロドルは2002年12月2日安値0.9863ドル、ポンドドルが2020年3月25日安値1.1640ドル。

(小針)
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