ロンドン為替見通し=英欧でのエネルギー危機懸念がポンドとユーロの上値抑制か

 本日のロンドン為替市場のユーロドルは、今夜発表される米7月消費者物価指数の前までは動意に乏しい展開が予想される。

 昨日のポンドドルは、「英政府は来年1月にも産業界や家庭を対象にした計画停電を検討」との報道を受けて1.20ドル台で軟調に推移した。
 ユーロドルも、ロシアが天然ガスのパイプライン「ノルド・ストリーム1」を通じた天然ガス供給の削減に続き、ウクライナ経由でハンガリーやスロバキア、チェコへ輸送されていたロシア産原油の供給を先週停止したことを発表したことで、1.02ドル台で上値が重い展開となった。
 また、景況感に関しては、ラムスデン英中銀(BOE)副総裁が景気後退により来年は利下げが必要になるとの見方を否定はしないと述べている。
 ユーロ圏も、2022年下半期のリセッション(景気後退)入りの可能性が警戒されており、利下げの可能性が警戒されている。すなわち、欧州中央銀行(ECB)は2008年と2011年の7月に政策金利を引き上げたが、2008年は世界金融危機の深刻化、2011年は欧州債務危機の深刻化により、年内の利下げを余儀なくされている。今年も、ロシアによる天然ガスや原油供給の遮断を受けて、スタグフレーション、リセッションへの警戒感が高まっており、3度目の利上げ失敗の可能性に警戒しておきたい。

想定レンジ上限
・ユーロドルの上値目処(めど)は、8月2日の高値の1.0294ドル、ユーロ円は一目・雲の下限の138.47円。ポンドドルは、一目・転換線の1.2149ドル、ポンド円は一目・雲の上限の164.02円。

想定レンジ下限
・ユーロドルの下値目処(めど)は、一目・基準線の1.0123ドル、ユーロ円は8月8日の安値の137.07円。ポンドドルは一目・基準線の1.2027ドル、ポンド円は一目・雲の下限の162.17円。



(山下)
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