ロンドン為替見通し=ユーロ、ロシアによるラトビアへのガス供給停止の影響に注視

 本日の欧州時間では、欧州各国・地域の製造業PMI改定値が発表される。英国以外の速報値は、景況感の強弱を判断する節目50を割り込む結果となったが、ここ最近は改定値が大きく振れることがない。よほど速報値との乖離がない限りは市場が反応するのは難しいか。また、ユーロ圏失業率も発表されるが、同指標で市場が動意づいたことはここ暫くほぼ皆無。本日の欧州経済指標では動意薄になりそうだ。

 経済指標では動きにくいが、本日の欧州通貨はボラタイルな値動きをする可能性がある。特に米金利動向と、欧州のガス先物を中心としたエネルギー価格の動向には要注目。

 アジア時間では比較的に小幅な値動きとなっている米金利だが、先週のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の会見以後は低下傾向にある。明日と明後日に、今年の米連邦公開市場委員会(FOMC)投票メンバーでもあるメスター米クリーブランド連銀総裁、ブラード米セントルイス連銀総裁の講演が続く。両者の講演を前に更に米債買いが入るのか、利食いの売りが入るのかで神経質な相場になりそうだ。
 
 一方、欧州のガス事情は、週末30日にロシアの国営エネルギー大手ガスプロムがNATO加盟国であるラトビアへのガス供給を停止したと発表した。声明の中で、ガスプロムはラトビアを「供給条件に違反している」と非難したが、具体的に内容には言及していない。この供給停止や更なる続報で、欧州のガス価格が激しく上下することが予想され、ユーロも連れて動く可能性もありそうだ。

 なお、ユーロドルはドルがほぼ全面安なことで堅調な動きだが、ユーロスイスフランは連日年初来安値を更新し、2015年のフラッシュクラッシュ以来の水準まで下落している。ユーロ単体では決して買い基調に動いていないことも頭に入れておきたい。

 なお、本日から英国では保守党党員に、次期首相選の党員投票用紙の送付が始まる。これに際して、昨日候補者の一人スナク前財務相が、所得税の基本税率を2029年までに計20%減税するとの公約を打ち出した。今週はイングランド銀行の金融政策委員会(MPC)も開かれるが、政治的な動向にもポンドは左右される可能性もあるか。

・想定レンジ上限
 ユーロドルは、日足一目均衡表・基準線1.0284ドル。
 ポンドドルは、先週末高値1.2245ドルのすぐ上、日足一目均衡表・雲下限1.2249ドル。

・想定レンジ下限
 ユーロドルは、先週末29日安値1.0146ドル。
 ポンドドルも、先週末29日安値1.2063ドル。


(松井)
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