ロンドン為替見通し=天然ガスを巡る動きに注目、IEAはガス消費を抑えるよう警告

 本日のロンドン為替市場では、欧州景気の足を引っ張るとの懸念が高まっている天然ガスを巡る動きが注目される。

 一部通信社が昨日伝えたところによると、ロシア国営の天然ガス会社ガスプロムは、供給契約を結ぶ複数の欧州エネルギー企業に対し、異例の状況下にあるためガス供給を保証することができないと伝えた。現状、ロシアからドイツなどへのガス供給主要ルートであるノルドストリーム1は、定期点検のため今月11日から10日間の予定で停止中。ただガスプロムの通達により、停止期間が延長される可能性が高まった。

 国際エネルギー機関(IEA)も18日、ロシアからの天然ガス供給が「完全に絶たれる可能性は排除できない」とし、欧州に直ぐにでもガス消費を抑えるよう警告している。

 欧州の天然ガス価格の指標であるオランダTTFガス先物の期近限月は昨日、1メガワットあたり160ユーロ割れで伸び悩んで終えた。ガスプロム報道を受けての反応は意外と落ち着いた感じだったようだが、1カ月前の80ユーロ台と比較すると水準としては高いところにいる。このまま高止まり、または上値を試すようなことがあれば、欧州経済の活動停滞に繋がることになり、通貨ユーロにとっても重しとなるだろう。

 一方、欧州連合(EU)はアゼルバイジャンからのガス輸入量を現行水準から倍増させるなど、供給源の多様化に動いている。ロシア関連は材料出尽くしと捉えられる可能性も念頭に入れておきたい。

 なお本日は6月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値が発表される。速報値では前年比8.6%と過去最高を記録した。今回は改定値ではあるものの、かなり高い水準にいるだけに、速報値からの上下振れには市場は敏感に反応しそうだ。

想定レンジ上限
・ユーロドル、ユーロ円とも昨日高値の1.0201ドルと140.80円。

想定レンジ下限
・ユーロドルは日足一目均衡表・転換線1.0087ドル、ユーロ円が昨日安値139.38円。



(小針)
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