ロンドン為替見通し=ユーロドル、下値警戒感は高まったままか

 本日のロンドン為替市場でユーロドルは、半年が経過しても出口が見えない「ロシアによるウクライナ侵攻」の状況を注視し、また欧州景気の停滞度合いにも注意しながらの取引となりそうだ。昨日は反発した場面もあったが、1.00ドル前半では頭を抑えられた。パリティ(1ユーロ=1ドル)割れの水準に慣れつつあり、そういった意味でも下値への警戒感は高まったままだ。

 ロシアがウクライナ侵攻を開始したのが2月24日。侵攻から半年の節目に米政府は、ウクライナへの過去最大規模の軍事支援を発表する見通し。欧州も支援を維持する構えであり、西側諸国とロシアの対立姿勢は強まるばかりだ。本日はウクライナが旧ソ連から独立した記念日でもあることから、ロシアがこれまで以上に大規模な攻撃を仕掛けるのではとの警戒感が高まっている。今日一日で決着がつくわけでもないが、地政学リスクの高まりには気を付けたい。

 今後は、ゼレンスキー・ウクライナ大統領がクリミア奪還を強調していることから、更なる長期化・泥沼化は避けられないのではないか。そうなると、戦争の影響で高進した欧州インフレはなかなか落ち着かないかもしれない。

 一部通信社によれば、欧州委員会は昨日に発表した報告書で、欧州が過去500年で最悪の干ばつに直面していると指摘した。欧州の土壌の半分近くは水分不足が明らかな警告状態だということだ。物資輸送に支障をきたしている主要河川の水位低下が長引く可能性は高く、地域経済の減速からますますユーロは買われ難くなってしまうか。

想定レンジ上限
・ユーロドルは22日高値1.0047ドル、ユーロスイスフランは19日高値0.9670フランが上値めど。

想定レンジ下限
・ユーロドルは昨日わずかに届かなかった0.99ドルが意識され、割り込むと2002年12月2日安値0.9863ドルが次の下値めど。ユーロスイスフランは昨日つけた2015年1月以来の安値0.9553フランが下値めど。


(小針)
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