週間為替展望(豪ドル/ZAR)-豪ドル、金融政策への思惑広がるか

◆豪ドル、対円では金融政策の方向性の違いが引き続きサポート
◆欧州スタグフレーション懸念、リスクセンチメント悪化の恐れ
◆ZAR、財務相の辞任危機がマイナス材料に

予想レンジ
豪ドル円 93.00-97.50円
南ア・ランド円 7.80-8.30円

8月29日週の展望
 豪ドルは対円で底堅く推移するか。翌週(9月6日)に豪準備銀行(RBA)理事会を控えて、再び日・豪間の金融政策の方向性に焦点が当たれば、金利先高観を手掛かりとした円売り・豪ドル買いが進みやすい。一方で、世界的な景気減速懸念が高まるなか、リスク回避の動きが強まる可能性もある点には注意しておきたい。

 来週は7月小売売上高などの発表が予定されているが、相場への影響は一時的なものにとどまるだろう。市場の注目は翌週のRBA理事会に集まっており、次回の利上げ幅を巡って思惑が広がりそうだ。RBAは8月会合の声明文や議事要旨で「あらかじめ設定された道筋はない」と繰り返し言及しており、今後の金融政策に対してフリーハンドを確保したいようだが、市場ではその分、先行きの金融政策が見通しにくくなっている。

現時点の市場サーベイでは、7-9月末時点での政策金利が2.35%、年末時点で2.85%。ただ、大規模緩和策を維持し続けている日銀との金融政策の方向性の違いは明白であり、金融政策が市場の焦点となっている限りは、豪ドルの下支え要因として機能するだろう。
一方で、欧州では深刻なエネルギー供給問題からスタグフレーション(インフレ下の景気後退)への懸念が高まっている。投資家のリスク志向にブレーキがかかると、リスクセンチメントに敏感な豪ドルの売り圧力が増す可能性もあるため注意しておきたい。

 来週は、豪州からは29日に7月小売売上高、30日に7月住宅建設許可件数、9月1日に4-6月期四半期民間設備投資の発表が予定されているほか、NZからは31日に7月住宅建設許可件数や8月ANZ企業信頼感などが発表予定となっている。

 南アフリカ・ランド(ZAR)は伸び悩む展開か。今週発表された7月消費者物価指数(CPI)が前年比で2009年5月以来の水準まで上昇し、南アフリカのスタグフレーション懸念が台頭。さらに市場の信認が厚いとされるゴドンワナ南ア財務相が「スキャンダルで辞任の危機にある」との報道もあり、依然として積極的に買いを進めづらい状態にある。対円では金融政策の方向性の違いがサポートとなるだろうが、上値を伸ばすほどの材料はない。
なお、来週は31日に7月貿易収支が発表予定だが、相場への影響は限定的となりそうだ。

8月22日週の回顧
 豪ドルはもみ合いとなった。手掛かり材料難の中で方向感の乏しい動きに終始。対円ではドル円の上昇につれた円売り・豪ドル買いが進む場面も見られたが、積極的に上値を追う展開とはならなかった。
ZARも総じて方向感を欠いた動き。前週からの下げ基調こそ一服したものの、買い戻しの勢いも鈍かった。また、23日に発表された4-6月期の失業率は予想外の2四半期連続での改善となったが、相場への影響は限られた。(了)
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