週間為替展望(ドル/ユーロ)-ECB理事会での追加利上げに注目

◆ドル円、パウエルFRB議長の講演での利上げ幅への言及に注目
◆OPECプラス、8月米ISM非製造業景況指数、地区連銀経済報告にも注意
◆ユーロドル、ECB理事会での追加利上げに注目

予想レンジ
ドル円   137.00-142.00円
ユーロドル 0.9700-1.0100ドル 

9月5日週の展望
 ドル円は、20-21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ幅(0.50%または0.75%)を、8月ISM非製造業景況指数や地区連銀経済報告などで見極めていく展開が予想されるが、パウエルFRB議長が高金利の長期化を示唆したことで、下値は限定的だと予想される。

 来週は、6日に米8月ISM非製造業景況指数が発表される。米国サービス業の景況感、雇用や物価情勢を見極めることになる。また、7日に公表される地区連銀経済報告では、20-21日のFOMCに向けて各地区での物価動向を確認。8日に予定されているパウエルFRB議長の講演では、ブラックアウト期間(当局者が政策について発言出来ない期間)直前とあって、FOMCでの利上げ幅への言及があるのかに注目したい。

 また、5日に開催予定の石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなどの非加盟国で構成する「OPECプラス」では、減産決定の可能性が警戒されている。OPEC筋からは「イランが核合意再建で米欧と合意し、原油の輸出を再開するのに合わせて減産が実施される可能性が高い」と報じられている。G-7財務相会合で、ロシア産原油価格の上限が設定された場合、ロシアが報復措置として欧州への天然ガス供給を遮断する可能性があることともあわせて、ドル相場への影響に注意が必要だろう。

 ユーロドルは、ユーロ圏8月の消費者物価指数が前年比+9.1%だったことで、8日の欧州中央銀行(ECB)理事会で0.75%の追加利上げの可能性が高まっている。ただ、ユーロ圏の物価上昇と景気減速への懸念が払拭されないことから、上値が重い展開が予想される。
また、ロシア国営ガス会社ガスプロムが、欧州向け天然ガス・パイプライン「ノルドストリーム1」を一時停止にすると発表したことから、天然ガス価格は343ユーロ/メガワットまで上昇したが、フォンデアライエン欧州委員長が「電力市場への緊急介入を準備する」との見解を示すと反落した。来週から「ノルドストリーム1」での天然ガスの供給が再開されるのか否かに注目が集まっている。再開の有無のほか、供給量がどの程度になるのかなどにも注意したい。欧州側のエネルギー対策と、ロシア側のエネルギー戦略の鬩ぎあいに注目していくことになる。

8月29日週の回顧
 ドル円は、パウエルFRB議長がジャクソンホール会合で高金利の長期化を示唆したことから、9月FOMCでの0.75%追加利上げ観測が高まり、米10年債利回りが3.29%台まで上昇。137.37円から1998年8月以来となる140円台まで上昇した。ユーロドルは、ユーロ圏8月の消費者物価指数が過去最高の前年比+9.1%となり、ECB理事会での0.75%の追加利上げ観測が高まったことで、0.9914ドルから1.0079ドルまで上昇したが、米金利上昇を受けて0.9911ドルまで反落した。ユーロ円も137.03円から140.00円まで上昇した後、138円台まで一時反落した。(了)
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