週間為替展望(ドル/ユーロ)-利上げ幅を左右、米雇用統計に注目

◆ドル円、8月米雇用統計に注目
◆リニューアルしたADP全米雇用報告にも注意
◆ユーロドル、天然ガス価格の高騰が依然として上値を抑えるか

予想レンジ
ドル円   134.50-139.00円
ユーロドル 0.9650-1.0100ドル 

8月29日週の展望
 ドル円は、下値は堅そうだが、指標結果によっては乱高下もありえる。最注目は週末に発表される8月米雇用統計。結果次第では9月米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ幅に対する思惑が広がる可能性があり、ドルが激しく動くことが想定される。9月会合までにFOMCメンバーが注目しているのが、9月2日の8月米雇用統計と9月13日の8月米消費者物価指数(CPI)だが、9月10日からブラックアウト期間となるため、米CPIの結果を受けたメンバーの見解を聞くことはできない。そうなると、米雇用統計の結果を受けた発言が非常に重要となる為、市場関係者の注目度は一層増すことになるだろう。

 なお、31日には米民間雇用サービス会社ADPが従来の手法を刷新して、スタンフォード大学と提携してAIを駆使した新たなデータ分析で雇用レポートを発表することになっている。最近では米雇用統計の結果と乖離することが目立っており、市場関係者の間では注目度が落ちていたが、今回リニューアルした8月ADP全米雇用報告にも注意したい。

 8月米製造業・サービス部門購買部協会景気指数(PMI)の悪化でドルが急落したとあって、米経済指標に対する反応はより一層過敏になっており、来週は米雇用統計の他にも8月米消費者信頼感指数や8月ISM製造業景気指数などの結果にも警戒したいところだ。

 ユーロドルは、上値の重い展開か。依然として天然ガス価格高騰が続いていることで、欧州の景気先行きに対する懸念は高まるばかりであり、ユーロの頭は抑えられそうだ。ドラギ伊首相は次回の欧州連合(EU)首脳会議でロシア産ガス価格に対する上限を設定することに合意すべきと訴えたが、次回の首脳会議は10月であり、直近でガス価格を止められる材料に乏しい状況となっている。一方で、米大幅利上げ期待の後退によるドル反落が数少ないユーロの反発要因となるため、ユーロドルにとっても米雇用統計の結果が重要な方向性を決めることになりそうだ。

8月22日週の回顧
 ドル円は、週前半は底堅く推移し、米10年債利回りの上昇を支えに一時137.71円まで値を上げた。ただ、8月米製造業・サービス部門PMI速報値や7月米新築住宅販売件数、8月米リッチモンド連銀製造業景気指数が予想より弱い内容となったことが分かると急落。一気に135.82円まで売り込まれたが、一巡後は徐々に下値を切り上げる展開に。米長期金利の上昇も押し目買いを誘発し、137円台を回復する場面も見られた。

 ユーロドルは、欧州の天然ガス先物価格が20%超急騰するなど、エネルギー供給の先行き不透明感が根強い中、週明けからユーロ圏景気の悪化を懸念した売りが先行。一時0.9901ドルと2002年12月以来の安値を更新した。弱い米指標やロンドンフィキシングに伴うドル売りフロー、そして短期的なドル買いポジションに対する調整の動きが広がると1.0090ドルまで切り返す場面があったが、戻りは限定的だった。(了)
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