週間為替展望(ドル/ユーロ)-パウエルFRB議長の発言に注目

◆ドル円、ジャクソンホールでのパウエルFRB議長の講演に注目
◆7月PCEコアデフレータなど一連の米経済指標の結果に注意
◆ユーロドル、8月PMI速報値での景気鈍化懸念に警戒

予想レンジ
ドル円   134.00-139.50円
ユーロドル 0.9800-1.0200ドル 

8月22日週の展望
 ドル円は、底堅い動きとなりそうだ。週末のジャクソンホール会議でのパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演を待ちながら、日米金融政策の方向性の違いを意識した円売り・ドル買いの流れが根強く継続すると思われる。

 25-27日にカンザスシティ連銀主催のジャクソンホール会議が3年ぶりに対面方式で実施され、中日である26日の日本時間23時頃にパウエルFRB議長の講演が行われる予定となっている。ここで、次回9月会合での利上げ幅についての具体的な言及があるかどうかが注目される。ただ、9月会合までには8月雇用統計と8月消費者物価指数(CPI)の結果を後1回ずつ、それぞれ残しており、その結果を見る前に利上げ幅に関する踏み込んだ発言をする可能性は低そうだ。

 ただ、今週はデイリー米サンフランシスコ連銀総裁やブラード米セントルイス連銀総裁が相次いで0.75%利上げに賛同する姿勢を示したほか、ジョージ米カンザスティ連銀総裁やカシュカリ米ミネアポリス連銀総裁もインフレに対する懸念を表明したことからも、大幅利上げへの期待感は依然として残っている状況。日銀が依然として大規模な金融緩和を継続する中で、パウエルFRB議長がたとえ金利見通しに対して明確なサインを示さなかったとしても、日米金融政策の方向性の違いを意識したトレンドが覆されることは難しいとみられる。

 なお、足元では米経済指標に対する反応が大きくなっていることもあり、8月購買担当者景気指数(PMI)速報値や8月リッチモンド連銀製造業指数、4-6月期四半期実質国内総生産(GDP)改定値、7月PCEコアデフレータなどの結果を受けたドルの動きには警戒が必要だろう。

 ユーロドルは、上値の重い展開か。天然ガス価格の高騰が続く中で、今週発表された8月ZEW景況感調査が悪化したこともあり、欧州の景気先行き懸念が一層高まっている。来週前半には欧州各国の8月PMI速報値の結果が発表され、最近は同指標に対するユーロの反応が大きいことからも、仮に弱い結果になれば、スタグフレーションへの警戒感が一段と高まり、ユーロが一段安となる可能性には注意したい。

8月15日週の回顧
 ドル円は、週明けのNY序盤に発表された8月米ニューヨーク連銀製造業景気指数が大幅に悪化したことを受けて売りが強まり、一時132.56円まで下押した。ただ、その後は一転してショートカバーの動きに。翌16日には「みずほ銀行が日銀に預けている当座預金の一部にマイナス金利が適用されたことを明らかにした」との報道に海外勢が買いで反応し、134円台を回復した。米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨が予想ほどタカ派ではなかったことで伸び悩む場面も見られたが、対欧州通貨でドル高が加速すると買いが再開。米地区連銀総裁からタカ派的な発言が相次いだこともサポートされ、週後半には一時136.37円まで上値を伸ばした。ユーロドルは、週末にかけて下落幅を拡大。直近の安値を下抜けたことから1.0073ドルまで値を下げている。(了)
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