ニューヨーク外国為替市場概況・2日 ユーロドル、小反発

 2日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは小反発。終値は0.9954ドルと前営業日NY終値(0.9946ドル)と比べて0.0008ドル程度のユーロ高水準だった。ロシアとドイツをつなぐ天然ガスの主要パイプライン「ノルドストリーム1」を巡り、「ガス供給は予定通り3日再開の見通し」との報道が伝わると、欧州のエネルギー供給不安が和らぎ欧州株相場が大幅に反発。投資家のリスク回避姿勢が後退しユーロ買い・ドル売りが優勢となった。
 注目の8月米雇用統計では、非農業部門雇用者数が31.5万人増と予想の30.0万人増を上回った一方、失業率と平均時給が予想より弱い内容となったことが明らかに。市場では米連邦準備理事会(FRB)が利上げをさらに加速するほど強い内容ではないと受け止められ、米長期金利が低下。全般ドル売りが優勢となり、一時1.0034ドルと日通し高値を更新した。
 ただ、NY午後に入ると一転売りが優勢に。ロシア国営の天然ガス会社ガスプロムが「ノルドストリーム1」について「当初の計画通りに稼働を再開できない」と発表。欧州のエネルギー供給不安が再び高まるとユーロ売りが強まった。4時30分過ぎには一時0.9945ドル付近まで下押しした。なお、市場では「G7がロシア産原油に上限価格導入で合意したことへの対抗手段ではないか」との声が聞かれた。 

 ドル円はほぼ横ばい。終値は140.20円と前営業日NY終値(140.21円)と比べて1銭程度のドル安水準だった。米重要指標の発表を控えてしばらくは140円台半ばでのもみ合いが続いていたが、米雇用統計で非農業部門雇用者数が予想を上回ったことに買いで反応すると、一時140.80円と1998年8月以来約24年ぶりの高値を付けた。
 ただ、失業率と平均時給が予想より弱い結果だったことから、FRBの利上げ加速の懸念が和らぎ、米10年債利回りが一時3.17%台まで低下。全般ドル売りが優勢となり、139.92円付近まで下押しした。7月米製造業新規受注が予想を下回ったことも相場の重し。
 もっとも、米利上げ加速の懸念は多少和らいだものの、FRBが金融引き締めを長期化させるとの観測自体は変わらない。「ガスプロムは欧州向けパイプラインの再開を延期」との報道をきっかけに対ユーロ中心にドル買い戻しが進んだ影響も受けて、140.32円付近まで持ち直した。

 ユーロ円は小幅ながら反発。終値は139.57円と前営業日NY終値(139.44円)と比べて13銭程度のユーロ高水準。独株式指数(DAX)が3%超上昇するなど、欧州株相場の大幅反発を受けて円売り・ユーロ買いが先行。22時前には一時140.75円と日通し高値を更新した。
 ただ、NY午後に入ると「ノルドストリーム1は稼働停止を継続」との報道をきっかけに欧州のエネルギー供給不安が再び高まりユーロ売りが優勢となった。一時は370ドル超上昇したダウ平均が失速し、470ドル超下落したことも相場の重しとなり139.40円付近まで下押しする場面があった。

本日の参考レンジ
ドル円:139.87円 - 140.80円
ユーロドル:0.9943ドル - 1.0034ドル
ユーロ円:139.26円 - 140.75円

(中村)
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