東京為替見通し=豪ドル、RBA理事会声明文に要注目

 5日の海外の外国為替市場でドル円は、米国がレーバーデーで祝日だったため低調な商いの中、一時140.66円まで強含みに推移した。ユーロドルは、ロシア国営の天然ガス会社ガスプロムがパイプライン「ノルドストリーム1」を通じたガス供給停止を無期限で延長したことを受けて、アジア市場で0.9878ドルまで下落。その後に、0.99ドル台に反発した。ユーロ円は、欧州時間に139.64円の高値を付けた後、NY市場では139円台半ばで推移した。

 本日の東京外国為替市場では、午後に豪準備銀行(RBA)理事会が発表する金融政策が注目される。ドル円については、OPECプラスでの減産合意を受けた原油価格の堅調推移やFRBの高金利政策の長期化観測から底堅い展開が予想される。

 ドル円は、1998年8月以来の140円台で堅調に推移しており、円安と物価高による家計負担が7.5万円程度になると試算されている。岸田政権の物価高やエネルギー対策などが注目されているが、為替市場では、鈴木財務相や財務省幹部からの円安牽制の内容に変化があるのか否かに要注目となる。

 ドル売り・円買い介入への警告としては、「投機的な動きは容認できない」「必要であれば適切な措置を講じる」があり、介入が視野に入る直前には、「行き過ぎた相場の動きに対してはあらゆる措置を排除しない」「投機的な相場の動きに対しては断固たる措置を取る用意がある」などに要警戒となる。

 13時30分に発表される豪準備銀行(RBA)の政策金利は、インフレ抑制のために、1.85%から2.35%への0.50%の利上げが見込まれている。0.50%の利上げは織り込み済みとなっており、注目ポイントは声明文となる。

 8月のRBA理事会では、今後も金融正常化に向けて進むことを見込むとしながらも、「あらかじめ設定された軌道上にあるわけではない(it is not on a pre-set path)」という文言が付け加えられた。この想定外の文言追加で、豪3年債利回りが急低下し、豪ドルは売られた。今回も、同様の声明が予想されている。

 ロウRBA総裁は、8月の声明では、「経済を安定させながらインフレ率を政策目標である2-3%に抑える方策を重視。今後数カ月にわたり金融状況の正常化に向けたプロセスでさらなる対応を取る」ことを示唆していた。オーストラリアの消費者物価指数(CPI)は、4-6月期に前年同期比+6.1%上昇とインフレ目標(2-3%)を大幅に上回り、RBAの見通しでは、2022年末に7.75%まで上昇することが予想されている。

 なお8月のメルボルン研究所(MI)期待インフレ指数は、前月比-0.5%(7月+1.2%)、前年比+4.9%(7月+5.4%)と鈍化しているのが警戒要因かもしれない。

 ユーロドルは、ロシア国営の天然ガス会社ガスプロムがパイプライン「ノルドストリーム1」を通じたガス供給停止を無期限で延長したことを受けて欧州の景気懸念が強まっていることで、下落リスクが高まりつつある。
 ポンドドルは、トラス次期英国政権がインフレ抑制よりも、減税による景気対策に軸足を置いた政策を打ち出していることで、物価上昇と景気減速への警戒感から、下落リスクが高まりつつある。


(山下)
株式会社DZHフィナンシャルリサーチより提供している情報(以下「情報」といいます。)は、 情報提供を目的とするものであり、特定通貨の売買や、投資判断ならびに外国為替証拠金取引その他金融商品の投資勧誘を目的としたものではありません。 投資に関する最終決定はあくまでお客様ご自身の判断と責任において行ってください。情報の内容につきましては、弊社が正確性、確実性を保証するものではありません。 また、予告なしに内容を変更することがありますのでご注意ください。 商用目的で情報の内容を第三者へ提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。 情報の内容によって生じた如何なる損害についても、弊社は一切の責任を負いません。