ニューヨーク外国為替市場概況・7日 ドル円、3日続伸

 7日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3日続伸。終値は143.74円と前営業日NY終値(142.80円)と比べて94銭程度のドル高水準だった。積極的な金融引き締め政策が長期化するとの観測が強まる米連邦準備理事会(FRB)と、大規模な金融緩和策を維持する日銀との金融政策の方向性の違いが意識されて、この日も円売り・ドル買いが継続。20時30分過ぎに一時144.99円と1998年8月以来約24年ぶりの高値を付けた。
 ただ、NY勢が本格参入する時間帯に入ると上値が重くなった。心理的節目である145円手前ではポジション調整目的の売りが出たほか、市場では「145.00円に観測されているバリアオプションの防戦売りなどに上値を抑えられた」との声が聞かれた。米長期金利の低下を背景に全般ドル売りが強まると、5時前に一時143.68円付近まで下押しした。
 なお、米連邦準備理事会(FRB)がこの日公表した米地区連銀経済報告(ベージュブック)では「経済活動は7月から8月終盤にかけて横ばいで推移した」との認識が示されたほか、物価については「引き続き非常に高い水準にあるが、9地区で上昇率がある程度緩やかになったと報告された」と伝わった。米10年債利回りはベージュブック公表後に一時3.2482%前後まで低下した。

 ユーロドルは3営業日ぶりに反発。終値は1.0006ドルと前営業日NY終値(0.9904ドル)と比べて0.0102ドル程度のユーロ高水準だった。プーチン露大統領が停止中の欧州向け主要ガスパイプライン「ノルドストリーム」について「タービンがあれば明日にも供給を再開する」と発言すると、欧州の天然ガス価格が急落。エネルギー価格高騰によるユーロ圏景気の減速懸念が和らぎ、ユーロ買い戻しを誘った。米長期金利の低下に伴うユーロ買い・ドル売りが強まると、一時1.0011ドルと日通し高値を更新した。
 市場では「明日8日の欧州中央銀行(ECB)理事会で通常の3倍にあたる0.75%の利上げが実施されるとの観測が高まっており、持ち高調整目的のユーロ買い・ドル売りが優勢となった」との声も聞かれた。

 ユーロ円は4日続伸。終値は143.85円と前営業日NY終値(141.43円)と比べて2円42銭程度のユーロ高水準。各国中銀の金融引き締め政策に注目が集まる中、日銀のみが大規模な金融緩和を続ける構図に改めて焦点があたり、円を売る動きが先行した。天然ガス価格の大幅下落を背景にユーロ買いが活発化すると、一時144.01円と6月29日以来の高値を更新した。

本日の参考レンジ
ドル円:142.71円 - 144.99円
ユーロドル:0.9876ドル - 1.0011ドル
ユーロ円:141.37円 - 144.01円

(中村)
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