ロンドン為替見通し=ECB理事会の決定待ち、英国では支援計画の詳細発表

 本日のロンドン為替市場では、日本時間21時15分に欧州中央銀行(ECB)理事会が発表する政策金利の引き上げ幅と、その30分後から予定されるラガルドECB総裁の定例記者会見が注目される。欧州前半はここ数日と同じく、ドル円が他通貨ペアを先導することになりそうだ。

 ユーロ圏インフレ率が足もとで9%を超える水準まで加速していることを背景に、先週はECBによる初の75ベーシスポイント(bp)引き上げが短期金利市場で織り込まれた。アナリストへの聞き取りも先週末が多かったようであり、そのため予想の中心値も利上げ幅75bpとなっている。

 もっとも欧州景気後退への懸念が強いなか、今週に入ると大幅利上げへの織り込み度も低下しつつあるようだ。確実に75bp利上げというわけではなく、50bpとの予想比率は6対4と見ておいたほうが良いのではないか。

 しかしながら、もし今回のECB理事会でタカ派が勝利したとしても、インフレ抑制効果への懐疑的な見方は根強いのではないか。スタグフレーションへの警戒感が緩まなければ、75bp利上げでユーロが跳ねたところでは売りに叩かれるという値動きも考えられる。

 次回以降についてはデータ次第ということなのであろうが、引き締め強化について慎重か、積極的かを匂わせる文言を探すことになる。こちらは定例記者会見の質疑に対するラガルドECB総裁の応答が注視される。

 なお英国では本日、トラス英首相がエネルギー価格高騰に対応する家計・企業向け支援計画の詳細を公表する。インフレ抑制は期待できるのだろうが、英財政をかなり圧迫することは確実であり、ポンドにとってはポジティブではない。ただポンドドルは昨日1.1406ドルと1985年以来の安値を更新してしまっており、詳細公表後に一旦は材料出尽くし感と受けとめられる可能性もある。

 想定レンジ上限
・ユーロドルは8月31日高値1.0079ドル、ポンドドルは6日高値1.1609ドル。

想定レンジ下限
・ユーロドルは6日安値0.9864ドル、ポンドドルは昨日7日安値1.1406ドル。


(小針)
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