株式明日の戦略-ハードな週を上昇で終える、来週は個別物色が賑わい堅調か

 9日の日経平均は続伸。終値は149円高の28214円。ECBの大幅利上げ決定や、パウエルFRB議長のタカ派発言を受けても米国株が上昇したことから、3桁上昇スタート。高く始まった後の上値は重く、開始早々には上げ幅を急速に縮めた。しかし、前日終値近辺ではマイナス圏入りを回避して盛り返した。前場ではプラス圏を維持しながらも方向感が定まらなかったが、後場は28200円近辺で値動きが落ち着いた。終盤にかけても目立った動意は乏しく、寄り付きの水準を若干上回って取引を終えた。グロースコア指数が3.2%高、マザーズ指数が2.4%高と、新興指数の動きの良さが目立った。

 東証プライムの売買代金は概算で3兆1400億円。業種別では海運、電気・ガス、不動産などが上昇した一方、空運、ゴム製品、精密機器などが下落した。証券会社が目標株価を引き上げたサカイ引越センター<9039.T>が大幅高。反面、今期の減益見通しを提示したアルチザネットワークス<6778.T>が大幅安となった。

 東証1部の騰落銘柄数は値上がり1205/値下がり535。日本郵船など海運大手3社が大幅上昇。9月になって動きが良くなっているダブルスコープやレノバが急伸した。野村不動産や東急不動産など不動産株が総じて堅調。ANYCOLOR、EDP、M&A総研など上場して日が浅い銘柄の多くに強い買いが入った。上期決算が好感されたミライアルが8%高。「ザ クレンジングバーム」シリーズの販売好調に関するリリースを手がかりにプレミアアンチエイジングがストップ高となった。

 一方、トヨタ、ソニーG、任天堂など、主力ど真ん中銘柄が軟調。HOYAやダイキンなど値がさの一角も弱かった。原油価格が持ち直したことで、JAL、ANAなど空運株や、ブリヂストンなどタイヤ株、JR東日本やJR東海など鉄道株といった、原油高がデメリットとなる銘柄群の多くが下落。決算を材料にアールプランナーやエッジテクノロジーが急落した。

 日経平均はハードなスケジュールが多かった週を上昇で終えた。パウエルFRB議長は8日の討論会で9月FOMCの手がかりを示さなかったが、それはすなわち、1%利上げの可能性がほぼないことを意味する。1%があり得るという状況であれば、先に地ならしをしておかないと米株市場が大混乱となる。日本株が怖いのは米国株のクラッシュ的な下げで、それが出てくると一気に買い手が委縮する。しかし、今週はそういった懸念が後退するような動き(米株堅調、米長期金利低下、原油安)が幾つか見られた。目先はグローバル市場の中でも日本株のパフォーマンスが良くなる可能性がある。


【来週の見通し】
 堅調か。翌週にFOMC(9/20~21)を控える中、13日には米8月CPIが発表される。ただ、9月のFOMCで大幅利上げが継続することは織り込みが進んでいる。そのため、米国の金融引き締めを過度に警戒するような流れにはなりづらいとみる。日本株に関しては、9月の権利獲得を目的とした実需の買いが期待できる。決算発表も幾つかある上にIPOも2社あり、大型・中小型問わず個別の物色が盛り上がりそう。FOMCが近づくことで指数の日々の振れ幅は大きくなるかもしれないし、債券市場や商品市場に神経質となる場面も増えるかもしれない。しかし、多少のボラティリティは許容しつつ、上げやすく、下げづらい地合いが続くと予想する。
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