株式明日の戦略-後場下げ渋るも3桁の下落、目先は波乱要素が満載

 7日の日経平均は反落。終値は196円安の27430円。休場明けの米国株が下落したことを嫌気して、80円程度下げて始まった。寄り付きを高値にすぐに下げ幅を3桁に広げると、節目の27500円も割り込み27200円台まで下落した。前日夜から為替市場では円安が急速に進行していたが、取引時間中にもドル円が円安に振れたことで、ピッチの速さが警戒された。ただ、300円超下げたところで売り圧力が和らぎ、後場に入ると下げ幅を縮小。戻りは緩慢で200円近い下落とはなったが、後場の高値圏で取引を終えた。

 東証プライムの売買代金は概算で2兆7500億円。業種別では保険、不動産、小売などが上昇した一方、海運、鉱業、石油・石炭などが下落した。コロワイド<7616.T>がフードサービス事業の買収を提案したとの観測が伝わったシダックス<4837.T>が大幅高。反面、名前の挙がったコロワイドと、シダックスへTOBを仕掛けているオイシックス・ラ・大地<3182.T>は大幅安となった。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり432/値下がり1369。トヨタ以外の自動車株は円安を好感して買われており、三菱自動車やSUBARUは3%を超える上昇。任天堂も円安恩恵が大きい銘柄との見方から買いを集めた。米金利上昇を受けて、東京海上やSOMPOなど保険株が堅調。直近の下げが大きかったアインHDに見直し買いが入った。今期の見通し提示や増配計画が好感されたウェルネットや、上方修正を発表したツクルバが急伸した。

 一方、日経新聞の社長インタビュー記事で業績懸念が強く意識された日本郵船が、全市場の売買代金トップとなる大商いで8%近い下落。商船三井が7%安、川崎汽船が6%安と、同業も大きく値を崩した。グロース株には米金利上昇が逆風となり、ソニーG、ソフトバンクG、リクルートなどが大きめの下落。メルカリは4%安となった。自動車株の多くが円安を受けて買われる中、トヨタは軟調。今期の営業赤字転落見通しがネガティブサプライズとなったくら寿司が10%近い下落となり、年初来安値を更新した。

 日経平均は円安が支援材料とならず3桁の下落。後場は下げ幅を縮めたが、中途半端な戻りで底打ち感はない。8日にECB理事会とパウエルFRB議長の討論会参加があり、この2つのイベントを通過するまでは神経質な地合いが続くだろう。きょうは円安進行が大きくクローズアップされたが、上述の2つのイベントは欧州と米国の金融引き締めを強く意識させる可能性が高い。来週13日には米8月消費者物価指数(CPI)の発表があり、この辺りまでは円安トレンドが続きそう。一方で、CPIが市場予想を下回った場合には、巻き戻しの動きが一気に出てくる可能性がある。米国株は休場を挟んでも下げ止まらず、日本株は今週末がメジャーSQと、目先は波乱要素が多い。米国では本日(日本時間深夜)にアップルが新製品発表イベントを行う予定。グロース株向きの地合いにはなっていないが、それだけにこういった材料にマーケットがどういった反応を見せるかは注目される。
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